“納豆不毛地帯”の大阪で、なぜ小さな店の納豆がヒットしたのか:仕事をしたら“ストーリー”ができた(1/6 ページ)
「関西人は納豆が嫌い」と言われている中で、大阪の東部にある大東市で注目されている納豆メーカーがある。その名は「小金屋食品」。従業員数が10人も満たない小さな会社が、なぜウケているのだろうか。
関西人は納豆が嫌い――。
都市伝説のように語り継がれているが、実際のところはどうなのか。1世帯当たりの支出金額をみると、最も多かったのは東北の5387円に対して、関西は2582円(総務省統計局の家計調査)。この数字を見て、納豆嫌いの関西人は驚いているのではないだろうか。「東北の人に比べて、関西人は半分ほど食べている? そんなに多いの?」「ウチの家では買ったことがないよ」などなど。
今、関西のスーパーで納豆は定番商品のように売られているが、大阪出身の記者が知る限り、20年ほど前は棚に並んでいなかった。かつて“納豆不毛地帯”と言われた大阪で、地元の人が思わず食べたくなる納豆メーカーがある。その名は「小金屋(こがねや)食品」。従業員7人(役員含む)の小さな会社が、なぜヒット商品を生み出すことができたのだろうか。
そんなことを考えていると、ストーリーマーケティングに詳しい川上徹也さんがこう言った。「『納豆屋だから納豆を売る』ではダメなんですよ」と。何を言っているのか分からなかったので、ポカーンとしていると「『酒屋だからビールを売る』でもダメ。『カフェだからコーヒーを売る』でもダメなんですよ」とも。
頭の中にいくつもの「?」が出てきたので、どういう意味なのか詳しく聞いてみることに。その結果、「モノが売れない時代に、もうかっている小さな会社には『物語』がある」ことが分かった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
川上徹也氏のプロフィール:
湘南ストーリーブランディング研究所代表。
広告代理店勤務をへてコピーライターとして独立。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を使い、企業や商品が本来持っている価値を見える化し輝く方法を、個別のアドバイスや講演・執筆を通じて提供している。近著に『物を売るバカ』(KADOKAWA)、『新潟発アイドルNegiccoの成長ストーリーこそ、マーケティングの教科書だ』(祥伝社)などがある。
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