なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(1/8 ページ)
「また騙された。正直者がバカをみる世の中はおかしい」と感じたことがある人も多いのでは。トクをするのであれば悪い人が増えそうだが、この世はいい人のほうが多い。なぜか? そこで動物の行動に詳しい、竹内久美子さんに人間の生き方を聞いた。
「また騙(だま)されてしまった。正直者がバカをみる世の中っておかしい!」――このように感じたことがある人も多いのではないだろうか。
悪い奴が幅を利かせている社会は、困ったものだ。人を裏切って、不誠実で、暴力を振るう人がトクばかりしているのなら、こうした勢力が増えているはず。しかし、実際は違う。人を裏切らず、誠実で、暴力を振るわない人が、大多数を占めている。この、一見矛盾するような状態はどうして存在するのだろうか。
ひょっとしたら、悪い奴はそれほどトクをしていなくて、いい人のほうがトクをしているのかもしれない。知らず知らずのうちに、人は“いい人”を演じることで、いろいろな恩恵を受けているのかもしれない。そんな疑問がわいてきたので、動物行動研究家の竹内久美子さんに話をうかがった。
なぜ? 動物に詳しい人なの? と思われたかもしれないが、動物の「生き方」と人間の「生き方」には何らかの共通点があって、そこから学べることも多いからだ。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。3日連続でお送りする。
プロフィール:竹内久美子(たけうち・くみこ)
1956年、名古屋生まれ。1979年、京都大学理学部卒業後、同大院博士課程を経て著述業に。専攻は動物行動学。理学修士。1992年、『そんなバカな! 遺伝子と神について』(文藝春秋)で、講談社出版文化賞科学出版賞受賞。その他の著書に、『女は男の指を見る』『本当は怖い動物の子育て』(いずれも新潮新書)、『指からわかる男の能力と病』(講談社+α新書)などがある。近著は『騙し合いの法則 生き抜くための自己防衛術』(講談社)。
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