タブレットを使う“IT授業”、普及のカギと多くの課題:2020年に間に合うか(1/2 ページ)
1人1台のWindowsタブレットを使った「IT授業」の実証研究が東京都目黒区の中学校で始まった。教育関係者や企業の期待は高いが、一方で実現には多くの課題がある。
「2020年までにすべての学校で1人1台のタブレットを導入したIT授業を実現する」――文部科学省がこのような目標を掲げている。2011年発表「教育の情報化ビジョン」での構想だ。あと6年でタブレットを活用した“IT授業”が当たり前になるというのは、想像しづらいかもしれないが、教育機関やPCベンダーはこの目標に向けて積極的に活動している。
東京都目黒区教育委員会は4月21日、目黒区立第一中学校においてタブレットPCや電子黒板など最新IT環境を導入する授業の実証研究を開始した。70台のWindowsタブレットと2台の電子黒板(どちらもWindows 8.1 Pro搭載)をNECが提供し、インターネットへの無線接続環境をNTT東日本が整備した。
こうしたIT機器を活用することで、生徒同士が議論しながらタブレットでリポートを作成したり、自分の意見を電子黒板で発表するといった、友達と協力しながら、自ら学んでいく姿勢を生徒に促し、教育効果の高い指導を探る。大学教授など専門家も監修として参加しており、学習効果の評価方法も確立させる狙いだ。実証研究は2015年3月まで行う予定で、状況により1年間の延長も検討するという。
“21世紀型”の授業で目指すもの
同校では2013年7月にこの共同研究プロジェクトを開始した。機器や環境の整備を進めており、創作ダンスの授業でタブレットの動画撮影機能を使ったほか、社会科のプレゼンテーションを電子黒板で行うなど試験的に利用してきた。生徒も自発的にアイデアを出し合うようになり、課題やコミュニケーションに対する積極性が向上する効果があったという。
こうしたテストを終え、2014年度は本格的な指導研究を行う。伊藤惠造校長は、タブレットを活用した授業の魅力について、録画や映像アーカイブを活用できる再現性や、数値や資料をビジュアルで見られる分かりやすさ、生徒同士の学びを促進する共同学習などを挙げる。「グローバル化を生き抜く子どもたちに、他者と協力して問題を解決する力を育成できるような授業を目指す」(伊藤氏)
タブレットを使ったIT授業も、いよいよ導入を見据えた本格的な動きが出てきた――そう語るのは記者発表で登壇したNTT東日本の長谷川達彦氏だ。「今まではタブレットなどのツール単体を試す実験がメインだったが、技術が進化し、タブレットを本格的に導入する自治体も出てきた。これからの実証研究は生徒が主役になるものであるべき。どういった授業を作りたいか、教師の要望に応えるようにわれわれ企業は動かなくてはならない」(長谷川氏)
しかし、こうしたIT授業が普及するまでの道のりはそう甘くはない。
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