検索
連載

侍ジャパンがWBC3連覇できそうもない、いくつかの理由臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/3 ページ)

ワールド・ベースボール・クラシック第1次ラウンドを目前として、山本浩二監督率いる日本代表チームが宮崎合宿を張っている。ところが、どうにも3連覇達成は怪しい雲行きなのだ。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

山本監督以外に『やります』という人がいなかった

 「結局、他に『やります』と言ってくれる人がいなかった」(日本代表関係者)ことから白羽の矢が立てられたのが、元広島カープの山本浩二氏だった。案の定、この山本監督の選考に関しても多くのプロ野球関係者が疑問を唱えている。

 「浩二さんは現役時代に名選手だったが、監督やコーチとしては残念ながら有能な人ではない。広島で監督をやっていたとはいえ、計10シーズンで優勝はわずかに1回。Bクラスには7回も沈んでいる。4位惨敗に終わった北京五輪では守備走塁コーチを務めながら(日本代表の)星野監督に『三塁コーチも頼む』と言われてサインの出し方が分からずに右往左往したこともあった」とは、山本監督を古くから知る関係者の弁だ。

 WBC日本代表監督の選考の場でも「山本浩二では厳しい」との声が大勢を占め、一時は候補者リストから完全に外されていた。ところが本命候補たちに次々と断られてしまったことで「最後は仕方なく浩二さんにお願いせざるを得なかった」(前出の関係者)という。

 日本球界内で「こんないい加減な選出方法によって、大事なWBC日本代表の監督を決めてしまっていいのか」「一度脱落したはずの山本さんを代表監督に選んだのは、3連覇を逃した際のスケープゴートにさせるためではないのか」などと、ささやかれているのもよく分かる。

 こんな低過ぎる契約条件でありながらも、あえて火中の栗を拾いにいく決断を下した山本監督に非はもちろんない。日本人メジャーリーガーが不参加となって厳しい戦いとなりそうな侍ジャパンの指揮官就任を二つ返事でOKした男気は、むしろ賞賛されるべきだろう。

 やはり問題視されなければいけないのは、指揮官としての能力が疑問視されていたはずの山本監督を再び担ぎ出したNPBと有識者たちの一貫性のない姿勢だ。

1投手につき公式球12球のみで練習できるか

 特に今回のWBCに関しては大会前からNPBに対するブーイングがさまざまな面において絶えることがない。こんな話もある。侍ジャパンの代表候補に選ばれた投手たちには2012年秋の時点でNPBからWBC公式球が支給されたのだが、その数は1投手につきわずか1ダースだった。

 「たった12球しか渡されないなんて信じられない。もし練習中にボールが無くなってしまったとしても追加発注できないというし、明らかに数が足りないですよ。話にならない。これではWBC公式球を使って、まともな練習を行うことはどう考えても難しい」とある投手は顔をしかめている。

 WBC公式球は日本プロ野球で導入されているNPB公認球よりも「かなり滑りやすい」と言われている。7年前の第1回大会から日本代表の投手陣は毎回のように対応に苦慮しており、そうした反省を生かすのであればNPBは各投手への支給数をもっと増やすべきであった。

 侍ジャパンの投手陣が「1ダースなんてケチったことを言わず、1投手につき最低5ダースは事前に支給してほしかった」と口々に言うのは、まさに正論。宮崎合宿では田中(楽天)や前田(広島)ら数多くの主力投手たちがWBC公式球に順応できず悪戦苦闘していたが、NPB側がしっかりと彼らに配慮しておけば、こうしたドタバタの事態を未然に防げたはずだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る