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コラム

雪は降らなかったけど、JR東日本が間引き運転を決めた理由杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)

2月6日、首都圏の朝のラッシュアワーは大混乱となった。前日からの「大雪・積雪予報」を受けて、JR東日本が通勤電車の間引き運転を実施したからだ。しかし、この処置は適切だったのか。コンピュータに頼りすぎた結果かもしれない。

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 行っとけダイヤが発動すると、普段は見られない種別・行き先・車両の組み合わせが現れる。だから鉄道ファンは歓喜する。その一方で、ダイヤの乱れはたちまち収束していく。裏方に優秀なダイヤ職人がいて、その指示を信頼する運転士と車掌がいて、乗客案内する駅員にも情報が届く。職員間の見事な連携の成果である。これが鉄道ファンが尊敬する理由だ。京急の真価は行っとけダイヤにあると言っていい。

 そして、ファンの尊敬は京急の乗客にも向かう。コロコロと行き先や種別が変わる状況に対して、クレームはゼロではないだろう。しかし、ほとんどの乗客は駅員の指示に耳を傾け、素直に従い、目的の駅へ最善の方法を選択する。京急のダイヤは種別が多く複雑で、日頃から乗りなれて鍛えられているからかもしれない。

 だから京急電鉄沿線の鉄道ファンは自賛する。「京急電鉄は乗客もプロフェッショナル」だと。

 コンピュータは活用すべきだ。しかし、システムの限界をフォローアップできる人材もちゃんと育てておかなくてはいけない。これは、コンピュータシステムに依存するすべての業種にとって必要なことだ。

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