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中国のコンビニで「おでん」が売れた理由新連載・ローソンの海外物語(中国編)(2/4 ページ)

中国のコンビニで売れている商品といえば「熬点」。日本のコンビニでもよく売れている「おでん」ですね。そもそも中国に「おでん」はなかったのに、なぜヒット商品になったのでしょうか。歴史を振り返りながら、その謎に迫っていきます。

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中国で売れている商品

 中国のコンビニではどのような商品が売れているのかご存じでしょうか? 人気商品は、FF(ファストフーズ)と言われるアメリカンドッグや白身魚フライ。ローソンの定番商品のひとつ「からあげクン」は全くといっていいほど売れませんでした。元々ある中国の「唐揚げ」とは味も形も異なっていたからかもしれません。

 「『からあげクン』が売れない? じゃあ何が売れるの?」「中国でヒット商品を生み出したいなあ」――。このように考えていた開発担当者たちは、コーヒーやソフトクリームなどいろいろなモノに挑戦。珍しい商品だったのでそこそこ売れたのですが、定着しませんでした。

 そして、1号店をオープンしてから1年が経った1997年。“日本のソウルフード”である「おでん」は温かいモノを好む中国人に受け入れられるかもしれない。そう考えた担当者は、上海の一部店舗で「おでん」の実験販売を開始しました。

 当時、日本のおでんは中国東北地方の工場で製造していて、この「おでん」の種を上海まで空輸してもらうことになりました。ダシからおでん種、さらには、辛子をつけて割り箸で食べるスタイルまで、日本式「おでん」をそのまま再現しました。

 これまで「おでん」を食べたことのなかった中国人からは「なかなかおいしい」との声もあったのですが、販売数は伸びませんでした。その理由を分析したところ、価格にありました。当時、中国のお弁当は1食5元(=25円)程度。しかし、おでんは1個2.5元(=12.5円)しました。なので「大根1つに2.5元も払えるか!」といった批判が寄せられたのです。確かに中国人からすると高めの価格。実験は失敗に終わりました。

 そこで価格だけでなく、イチから具材を見直しました。中国人が好むモノは何か? この疑問に対し、社内で議論した結果、「魚のすり身」にたどりつきました。中国では、肉よりも海の魚は高級品とされているからです。

 「練り物で攻めよう!」と決め、地元メーカーと相談し、中国風のおでん種を考案しました。魚肉ソーセージやちくわなどを用意し、提供の仕方も中国スタイルに変更。中国では買ってすぐ食べる……いわゆる“食べ歩き”が主流です。食べやすいように「おでん」を串さしにしました。また価格も1元〜1.5元に下げ、「おでん」を再出発させました。


中国のローソンでは、「おでん」が串さしになって売られている

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