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嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:

日本の隠れたエコ企業を発掘せよ!――「エコトワザ」大塚玲奈社長(前編) (2/3)

「私はバナナです」――そう笑う大塚玲奈さんは、「エコトワザ」を起業した28歳の女性社長だ。一風変わった社名は、“バナナ”な彼女だからこそできるビジネスを表している。日本の伝統をエコロジーに生かすという、エコトワザのビジネスモデルとは……?

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エコトワザのビジネスモデル

 リクルートを退職した大塚さんがエコトワザとして本格的に活動を始めたのは、2007年6月のこと。東京にある私立中学・高等学校、女子学院時代の同級生である小勝直美さんとの二人三脚で起業した。


大塚玲奈さん(左)と小勝直美さん(右)。起業からの1年半で苦労を重ねた結果、大塚さんの顔立ちは細く引き締まったが、人柄は逆に柔和さを増したと小勝さんは言う

 エコロジーに匠の技を生かすことを目的とするエコトワザ。そのビジネスモデルとは、どのようなものなのだろうか? 一問一答風に答えてもらおう。

大塚 環境問題予防につながる匠の技を持ち、外国企業との提携を希望する日本企業と、そうした日本の環境技術に関心を寄せる外国企業とのマッチングを図るビジネスです。そうした日本企業の紹介記事を弊社の媒体に載せることによって得られる「出展料」(現在1ページ10万円)と、マッチングに成功した場合の「成功報酬」が主たる売上となります。

――基本はマッチングビジネスなのですね。その媒体とは?

大塚 弊社のWebサイトと、環境技術・商品のカタログ『ecotwaza times』(エコトワザタイムズ)です。このカタログに、日本国内の匠の技をもつ企業の紹介記事を、英語と日本語で掲載しているんですよ。第3号(2008年9月号)では9社が載っています。

エコトワザWebサイト(左)、『ecotwaza times』第3号(右、季刊、1部300円、各回1000部発行)

――このカタログはどのようにして、海外企業の目に触れるのですか?

大塚 国内では欧米人が集まるエリアのカフェ、雑貨屋、書店などに置かせてもらっています。海外はこの度のロンドン出張で販路を確保しました(注:取材は彼女の帰国直後に行われた)

――逆に、掲載を希望する国内企業をどうやって募集しているのですか?

大塚 現在は主としてクチコミですね。サポートしてくれる応援団的な方々が日本各地に約100人いて、そのネットワークから上がってくる情報がベースになっています。

日本古来の経営哲学を今こそ世界へ

 ところで“異邦人”としての苦悩の果てに大塚さんが出会った日本古来の経営哲学、そしてそこから生み出される商品・サービスとは、そもそもどんなものなのだろうか?


石川県の粟津温泉・旅館「法師」公式Webサイト

 多くの現代企業の基礎にある欧米経営学は100年ほどの歴史を有し、戦略論もすでに40年ほどの蓄積がある。しかし日本には数百年、あるいは千年を超える歴史を有する老舗企業も少なくない。創業200年を超える企業だけでも現在3000社以上あるとされるし、ギネスブックで「世界最古の宿」と認定される石川県の粟津温泉・旅館「法師」に至っては1300年の歴史を有している。当然のことながら、そうした企業には欧米経営学では説明しきれない経営哲学が脈々と息づいている。

 1企業は人類の長い歴史や大自然の中にあっては、大海に浮かぶ一艘の小舟のようなもので、自己を取り巻く森羅万象によって「生かされている」に過ぎない。自己(自社)は自己を取り巻く森羅万象の一部であり、両者は基本的に一体化しているのである。これは仏教哲学に由来する「主客一如(しゅきゃくいちじょ)」の思想だ。

 一体化しているのであれば、人であれ、モノであれ、自然であれ、自己を取り巻く存在にダメージを与えることは自分自身を傷つけることにほかならない。森羅万象によって生かしてもらえていることに感謝し、自己を取り巻く存在に対して、どうすればその感謝をカタチに変えうるかを常に考え、それを実現してゆくことが「商い(あきない)の肝」である。日本の老舗企業がことさらにエコを叫ばずとも、たくまずしてエコが実現されることが伺える思想ではないだろうか。

 これは数百年の歴史を有する老舗企業だけに存在するのではなく、基本的には日本人の記憶の深奥、DNAに刻印された思想である。したがってその覚醒に成功した経営者であれば、歴史のない現代企業でも主客一如の思想を実現し、ステークホルダーから共感や信頼、尊敬を勝ち得ることが可能になる。

 そういう意味で、大塚さんが海外に紹介しようとする企業には、意外なまでに新興企業も多い。彼女が世界に普及しようとしているのは、日本伝統の匠の技であると同時に、それを根底で支える日本古来の経営哲学(世界観・自然観・人間観・経営観)なのである。

 「単にプロダクトを販売するのではなく、その背景にある日本の伝統哲学まで含めて提案しています。実際、それを求める海外企業からの引き合いは多いですね」と大塚さんは言う。

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