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時速10キロメートルの銀座旅行――自転車タクシー「ベロタクシー」で行く近距離交通特集(1/3 ページ)

自転車にお客を乗せて走るベロタクシーは、日本では2002年にデビューした新しい交通手段だ。現在国内で約100台が営業しているベロタクシーの実力とは?

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 遊園地のアトラクションにあるような自転車風の乗り物が、車道をずんずんと進んでいく。それは不思議な感覚だった。

 その乗り物の名前は「ベロタクシー」。ドライバーがペダルをこいで乗客を運ぶ自転車タクシーだ。

「まるで芸能人が通ったみたいでした」

 ベロタクシーが誕生したのは1997年、ドイツ・ベルリンでのこと。ガソリンを使用しない環境にやさしい乗り物に、広告を掲載した新しいビジネスモデルとして生まれたのだ。


これはインド政府観光局の広告

 環境意識が高まるにつれ、その理念も認知されていき、各国にベロタクシーは広がっていった。特徴的な外見から観光地などではマスコットのような役割も果たし、バスや鉄道を補完する交通機関となった。

 ベロタクシーは京都市で日本で初めて登場、2002年4月のことだ。


NPO法人環境共生都市推進協会(ベロタクシージャパン)の細尾ともこ事務局長

 「まるで芸能人が通ったみたいでしたね」

 当時のことを、NPO法人環境共生都市推進協会(ベロタクシージャパン)の細尾ともこ事務局長はそう回想する。「通行人の方々がみんな振り返って、写真を撮っていました」

 だが、ベロタクシーはすんなりと日本に導入できたわけではなかった。公道を走るためには、道路交通法を改正する必要があったからだ。

 道路交通法では、地域によって3輪の自転車に乗客を乗せることを禁止しており、京都もそれに該当していたのだ。法改正を要望したものの、当初は「ベロタクシーがどのような乗り物なのか分からない」「渋滞の原因になるのではないか」といった懸念があったことから反対意見も多く、実現まで2年かかった。

 しかし、京都市で導入されるとそれがモデルケースとなり、東京、奈良市、那覇市、札幌市などまたたたく間にベロタクシーの輪は広がっていった。現在、日本では計100台ほどのベロタクシーが走っている。街作りの一環として、導入を検討している自治体が多いという。


エコプロダクツ展にて

 ベロタクシーは街中を走るだけでなく、エコプロダクツ展やアースデイといった環境イベントで試乗会も行った。また、2008年2月の東京マラソンではゴール地点で中継車両として使われ、2008年3月の赤坂サカス開業時には東京ミッドタウンとのシャトル便として活躍した。「ベロタクシーに乗れば、赤坂サカスから東京ミッドタウンには15分ほどで着くのですが、1〜2時間ぐらいの行列ができていました」(細尾さん)

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