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「光熱費削減はお任せあれ」――人工知能で施設を省エネ化(2/3 ページ)

光熱費の高騰で頭を悩ます企業が施設を省エネ化するための手助けをするベンチャー企業、ウッドノート。自社製の人工知能を用いた細かなデータ分析や徹底した現場調査から、施設の無駄を見抜き、改善策を提示していくのだ。

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大胆な改善策も時には必要

 そうした対症療法からさらに踏み込み、外科治療で抜本的に改善したほうがいい場合もある。老朽化した非効率なシステムを取り替えたりするなどして改善するのだ。

 一例を挙げよう。

 あるゲームセンターで、客が長居せずに帰ってしまうため、売上が上がらない店舗があった。調べてみると、換気が悪い造りになっており、煙草の煙が充満してしまっていた。これは、もともと建物を建てたときに予算をあまり使えなかったことが原因だという。空気清浄機を所々に置いてはいたのだが、ほんの気休め程度の効果しかなかった。そのため、かえって余計なコストもかかっていたのだ。

 そこで水谷氏は、適度に換気できるよう、建物そのものの改装を提案した。なぜなら、こうした場所は適度な換気をすることで空気の質を上げることが客足を伸ばす、売上を増やすことにつながるからだ。実際このゲームセンターは、改装後に売上が急増したという。

 コストを減らすだけが建物の価値を高める施策ではない。コストがかかっても、売上を上げる仕組みを作ることが大事な場合もあるのだ。

機械室の床に穴が開いていたことも

 「建物のメタボ検診」とはどのように行うのか。筆者は実際に水谷氏の仕事を見せてもらうことにした。

 訪れたのは都内にある某フィットネス施設の機械室。巨大なボイラーと水を温めるタンク、空調機とポンプ、そして配電盤がある暗い倉庫のようなところだ。水谷氏はまず、それらの老朽状況や運転状況を確認する。設備機器が消費するエネルギー量と実仕事量を調べ、効率的な運転ができているかを検証するためだ。設備機器の劣化が進んでいたり、運転の仕方が悪いと当然ながらエネルギー効率は下がる。

ボイラー室(左)、配電盤(中央)、計測器の状況を確認する(右)

 この日は機械室だけだったが、「図面を見て、入れるところは全部入ります」と水谷氏は言う。以前調査した案件では、機械室に入ると床に大きな穴が開いていたこともあったという。どうやら業者がいいかげんに作ったようなのだが、ビルオーナーも気付かなかったという。

 こうした実地調査の後、自社開発した人工知能を設置して、さらに詳しくデータを計測・分析する。この人工知能は自動計測だけでなく、蓄積データと利用状況などとの相関性を分析し、その内容から将来どのように数値が変化するかを予測する。そして、導入するシステムが最適な運用ができるように事前予知して制御できるのだ。


人工知能を設置する

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