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ロサンゼルスMBA留学日記:

最終回・MBAの理想と現実――卒業して分かったこと (2/3)

先日、MBAを無事に卒業、東京に戻って新しい職場に就職した。英語ペラペラになったのか? 就職先は選び放題だったのか? 最終回は2年間の留学生活を振り返り、MBAのメリットとデメリットを改めて本音ベースで考える。

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現実その2:就職先は限定される

 ビジネススクールに留学する目的の1つは、やはり転職(または就職)だろう。外資系の有名企業に就職できれば、給料も著しくアップする。それは間違いない。

 第3者機関であるBusiness Weekのデータベース(関連リンク)をもとに、筆者が通っていたUSC(南カリフォルニア大学)のMBA卒業生の給料を見てみよう。これによると、卒業直後のベース・サラリーが平均8万8841ドル。1ドル107円として、約950万円となる。

 これは基本給ということなので、ボーナスが別に付く。外資系企業では契約書にサインする段階でサインアップボーナスというのが提示される場合があるが、これの平均額が1万9031ドル、およそ200万円だ。要するに、サインアップボーナスと基本給を合わせると、1000万円を超えることが多い。


ロサンゼルスの風景

 筆者の周りで見聞きした例でも、投資銀行や戦略コンサル、それに外資系事業会社であるP&Gやジョンソン・エンド・ジョンソンといった有名企業に就職する場合、条件面で相当な給料が提示される。こう聞くと、MBAの未来は明るいかとも思える。

 だが、いくつか落とし穴もある。1つは解雇の危険性があること。これは「外資系企業、非情な“クビ切り”の実態」の原稿で触れた。

 もう1つは、高い給料をもらおうと思えば、就職先が限定されてくるという問題だ。前述のデータベースによると、USC卒業生のうちファイナンス/アカウンティング関連の職に就いた者が全体の52%。コンサルティング業界に就職したものが15%で、マーケティング/セールスが20%となっている。この3種類だけで9割近い。逆にいえば、ほかの業界への転職は難しいようだ。

 この数字は筆者にとって、非常に納得できるところだ。例えば筆者は前職が編集者だ。MBA卒業後、出版業界に面接にいって「給料1000万円ください」といったら、どうなるか? 「お前はアホか」と門前払いをくらうのがオチだろう。大手電機メーカーでも、似たようなものだ。30歳前の若造に提示できる給料は、せいぜい数百万円レベルになるだろう。つまりはMBAを評価してくれる業界と、してくれない業界があるのだ。もちろん、MBAを高く評価する企業の代表である投資銀行に就職して、2000万円前後の年収を勝ち取る学生もいる。

 ご存じのとおり、海外留学にはお金がかかる。これは複数のMBA卒業生が口にしていることだが「学費を取り戻すために、とりあえずは投資銀行/コンサルを目指した」という人間が多い。つまり“給料が進路を縛ってしまう”という現象が発生する。将来の夢をかなえるにあたり、回り道を選択する人間も出てくるかもしれない。


筆者が通っていたビジネススクールは、5月末で1年が終了する

 余談だが、日系企業でもMBAを厚遇する企業がいくつか存在するようだ。IT業界では楽天が、このところ熱心にMBA留学生にアプローチをかけている。給料も相当いいらしい。

 楽天の場合、経営トップがハーバードMBA卒だし、会社設立を支えた古参の幹部にも、MBA取得者が多い。会社として、「MBAを取ることの意義」が相当にあると判断しているのだろう。このように、MBA卒業生の採用に熱心な日系企業を見ると、トップがMBA取得者だったというケースは多いようだ。

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