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インタビュー
嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:

千葉県から世界へ! 串焼きチェーン「くふ楽」が目指すもの――福原裕一氏(前編) (3/3)

年間離職率が30%を超える外食業界で離職率は毎年5%以下という居酒屋がある。千葉を中心に「くふ楽」「豚の大地」などを展開するKUURAKUグループだ。就職希望者全員に内定を出すなど話題になった同社で、若者が「働きたい」「辞めない」のはなぜなのか?

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経営の究極の目的は、何か?

“Chief End”という言葉がある。「(人生の)究極の目的」という意味で使われることが多いが、福原氏は、上記の経営理念の推進・実現を通じて、日本や世界に対して、一体どのような価値を創出することを、自らのChief Endとして捉えているのだろうか?

 同社の公式サイトを見ると、経営理念と並んで下記の事業目的が明記されている。

事業目的

地域社会への貢献:くふ楽ができて、街が明るくなったと言われる店創り

人財の育成:志しを持つ若者を育て、自らの夢にチャレンジできるステージを提供します

日本文化を世界に広める:アイデンティティの発信

 「地域社会への貢献」は、福原氏の創業の志から発するもの。食を通じて、幸せなひとときを送ってもらいたい。その感動をスタッフともども共有しあいたいという同氏の想いを実現することで、その地域をイキイキとした躍動感に満ちた場所にしてゆこうということだ。

 「日本文化を世界に広める」は、そうした福原氏の想いを世界に広めるというビジョンの表明である。

 串焼きという日本文化を世界へ――それは少しずつ実現しつつある。カナダのバンクーバーに2店舗出店して、日本人だけでなく、現地の人々に支持されているようなのだ。

 日本文化の特に何を世界に広めたいのだろうか? 「“もてなしの心”です。もちろん、欧米は“ホスピタリティ”の本場ですから素晴らしい“もてなしの心”を持っていますが、日本のそれとは、異なると思うんですよ。欧米の場合は、店のスタッフが自分の担当テーブルに責任をもつというスタイルだと思うんですね。でも、日本の場合は、店のスタッフがチームとして機能し、チーム全体としてもてなすんだと思います。そうした日本ならではのもてなし方で現地のお客様方に味わっていただきたいですね」

 なるほど、欧米のもてなしが私の客に対するものであるのに対し、日本は、私たちの客に対するものということだ。


バンクーバーの2店舗。「わざわざアメリカのシアトルからいらっしゃるお客様もいらっしゃるんですよ」(福原氏)

若い世代に、仕事を通じて成長できる場を提供したい

 最後の1つ「人財の育成」については、こう話す。「仕事を通じて人間的成長、目標達成する喜びを感じ、『夢を実現する』志を持つ人々を育成したいと考えます。夢がありながら、チャンスがない若い人達に、『くふ楽』でチャンスの場を提供し、多くの事業家を育成したいと考えています」

 これが、本稿冒頭で筆者が「福原氏の本質は『社会起業家』に近い」と述べたことを裏付ける部分だ。

 ニートやフリーターの語はすっかり定着したし、うつ病が蔓延したり、「入社3年以内に3割が離職する」など、現代日本では若い世代の“働き方”をめぐる環境は深刻だ。社会問題ともなっている、若者の労働問題に対するひとつの解決策を提示する場として、福原氏は自社を位置づけているのである。

 福原氏は、創業以来、試行錯誤を重ねながらも、これらの事業目的を実現するために、システム/プロセス面で無数の仕掛けを用意し、経営理念事業目的を空念仏に終らせることのないよう、日々努力を重ねている。有言実行型経営と言っていい。

 今回は、福原氏の経営理念を中心に検討した。次回以降は、戦略システム/プロセス組織(能力)を順次検証していこう。(次回へ続く)

嶋田淑之(しまだ ひでゆき)

1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」「43の図表でわかる戦略経営」「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。


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