著名人が集結! シリコンバレーの宇宙ビジネス会議に参加してきた宇宙ビジネスの新潮流(1/2 ページ)

» 2015年07月25日 07時30分 公開

 ベンチャー企業の聖地、米国・シリコンバレーでは、ここ数年、宇宙ビジネスに関するカンファレンスが増加している。その中でも、著名な「NewSpace Conference」が7月16〜18日の日程で開催されたので、筆者も参加してきた。現地で感じた宇宙ビジネスに対する熱狂や展望をお伝えしたい。

連日白熱したセッションが行われたNewSpace Conference 2015 連日白熱したセッションが行われたNewSpace Conference 2015

米国の宇宙ビジネスリーダーが一堂に集まる

 NewSpace Conferenceは米Space Frontier Foundation(以下、SFF)が10年ほど前から開催している宇宙ビジネスカンファレンスで、近年は毎年7月にシリコンバレーで開催される。SFFは1988年に創設されたNPOだが、同カンファレンスの開催以外にも、宇宙ビジネスコンテストや個別プロジェクトの開催など、民間による宇宙開発を推進するためのさまざまな活動を行っている。

 NewSpace Conferenceのコンセプトは、民間宇宙ビジネスをリードするベンチャー企業、伝統的企業、政府系機関および投資家が一同に介することだ。SFFの担当者によると「今年は400〜500人ほどが参加した」とのこと。ステージ登壇者も豪華な布陣だ。

 政府系機関ではNASA(米航空宇宙局)、FAA(米連邦航空局)、DARPA(米国防高等研究計画局)が、大企業では米United Launch Alliance、欧Airbus Defence and Spaceが登壇。ベンチャー企業は米Planet Labs、米XCOR、米Spire Global、米Deep Space Industries、米Astroboticsなど本コラムで紹介してきた企業のCxOやVPといったマネジメントクラスが登壇した。

 今回は3日間で10回のキーノートスピーチ、13回のパネルディスカッションが行われるなど極めて濃密なプログラムだったが、特にパネルディスカッションは、ビジネス分野別のトピックを取り扱うもの、起業家の心得や経験を語るもの、産業全体の課題や将来を議論するものに大別される。

市場を切り開くために産業のビジョンをぶつけあう

 ビジネス分野別のセッションでは、例えば、小型衛星分野で「How Constellations and Big Data are Changing the Space Industry」と題して、データ解析を行う“Intelligent data platform”の進化、衛星データをダウンリンクするための通信ボトルネックの解消、用途としての農業分野などへの期待、将来的に衛星ビッグデータの活用が広がった “total information society”のセキュリティ課題などが議論された。

 それ以外にも、小型衛星のライドシェアモデル、低コストロケットと打ち上げ回数の高頻度化による宇宙へのアクセスコストのさらなる低下、ISS(国際宇宙ステーション)の商業利用加速、宇宙空間でのバイオリサーチの可能性、小惑星資源探査など、幅広い分野でさまざまな議論がなされたが、いずれのセッションでも、市場は切り開くものである、という強い姿勢が感じられた。

 起業家の心得・経験では、「War Stories from the Entrepreneurial Frontier」「The Case for Space: Why Investors Invest (Or Don't Invest)」などのテーマでセッションが行われた。 その中で“5/10/20 years business plan”を通じて顧客や投資家にメッセージを伝えることの必要性、一方で変化に応じてそれを柔軟に見直し、その際には“Assumption”を検証することの重要性、人的ネットワークを拡大するための“Pay forward”精神などが語られた。

 産業全体セッションでは、「NewSpace and Traditional Space」「Risk and Opportunity」「Incentivizing A Local Space Industry」などが議論された。その中では、直近の米国宇宙ベンチャー企業の“Valuation(企業価値評価)”の高騰を指摘する声や、従来的な宇宙産業思考から抜け出し、よりビジネス視点、ファイナンス視点、マーケット視点で考える“Space out”の重要性などが指摘された。

出展ブースも充実していた 出展ブースも充実していた
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