インタビュー
» 2015年07月22日 08時00分 UPDATE

水曜インタビュー劇場(観光公演):訪日客が増えれば「儲かる」のに、なぜ日本はチカラを入れてこなかったのか (1/7)

数年前、政府は「観光立国」を掲げ、ようやく重い腰を上げた。外国人観光客が増えれば「儲かる」のに、なぜ日本はチカラを入れてこなかったのか。その理由について、『新・観光立国論』の著者に話を聞いた。

[土肥義則,ITmedia]

水曜インタビュー劇場(観光公演):

 日本の人口減に歯止めがかからない。国立社会保障・人口問題研究所によると、2026年に日本の人口は1億2000万人を下回り、その後も減少を続けるという。

 未婚の男女が増えて出生率が下がっている中で、少子化対策だけで激減を止めることは難しい。海外から移民を受け入れるべきだという意見もあるが、まだまだ抵抗感を覚える人も多い。

 まさに八方ふさがりといった感じだが、人口を増やす方法はあるのだろうか。「人口減少を補うほど多くの外国人観光客を受け入れる、つまり日本が『観光立国』の道を歩むしかない」と語るのは、国宝などの文化財を修繕する「小西美術工藝社」のデービッド・アトキンソン社長だ。彼が語る「観光立国」とは、どういったものなのか。ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則が聞いた。

 →日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません(前編)

 →本記事、中編


土肥: 前回、外国人観光客を誘致するのに、日本の「おもてなし戦略」はズレているという話を聞かせていただきました。相手に対する気遣いなどを体験するために、わざわざ遠いところから外国人はやって来るのか。おもてなしだけでなく、外国人が日本のマンホールや自販機などを話題にすれば、すぐにそれをアピールする。こうした考えもズレていると指摘されました。

 日本が「観光立国」を目指すために、何が足りないのか、何が必要なのか、といった話も聞かせていただきましたが、ここでひとつ疑問があります。外国人が日本にたくさんやって来れば儲(もう)かることは分かっているのに、なぜこれまで本腰を入れてこなかったのでしょうか?

アトキンソン: 日本はこれまで、製造業の分野で先進国と競争してきました。カッコよくて性能が良くて環境に優しいクルマをつくることにチカラを入れてきました。テレビもビデオも洗濯機も冷蔵庫もゲーム機も、競合他社よりも質の良いモノをつくってきました。とにかく“何かをつくる”ことに夢中だったので、なかなか観光業にチカラを入れることができなかったのではないでしょうか。

 輸出業にはチカラを入れてきましたが、外国人観光客を多く受け入れようという動きはありませんでした。日本人が海外に行って活躍するのはいいのですが、外国人が日本にやって来て活躍するのは難しかった。例えば、日本人で海外の文化財に携わっている人はたくさんいますが、私のように外国人で日本の文化財に携わっている人はほとんどいません。

なぜ日本は観光業にチカラを入れてこなかったのか(写真はイメージです)

プロフィール:デービッド・アトキンソン

 元ゴールドマン・サックス金融調査室長。小西美術工藝社社長。1965年、英国生まれ。オックスフォード大学にて「日本学」専攻。アンダーセン・コンサルティング、ソロモン・ブラザーズを経て、1992年にゴールドマン・サックス入社。2006年に同社partner(共同出資者)となるが、2007年に退社。同社での活動中、1999年に裏千家に入門。2006年には茶名「宗真」を拝受。2009年、小西美術工藝社に入社、取締役に就任。


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