日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません水曜インタビュー劇場(観光公演)(7/8 ページ)

» 2015年07月15日 10時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

「日本は新鮮な観光地」と感じてくれるかも

イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』(著:デービッド・アトキンソン、講談社+α新書)

アトキンソン: 数年前に外資系の有名なホテルが進出してきたので、そうしたところを紹介できるかもしれませんが、それも都市部だけ。地方に行けば、ビジネスホテルクラスしかないですよね。

土肥: 考えてみれば、日本には富裕層を相手にするビジネスが少ないような。ホテルだけに限らず。

アトキンソン: なぜ超高級ホテルがないかというと、これまで1億3000万人弱の日本人を相手にしてきたから。日本人に経済力がないということではなく、1年365日、毎日1泊900万円の部屋を埋めようと考えれば、1億3000万人は少なすぎるという話です。しかし、海の外に目を向けるとどうでしょうか。世界には72億人もいるので、その中には多くの富裕層がいます。旅行先で湯水のようにお金を使う人々を相手にするホテルが、日本にもあっていいはず。

土肥: 1泊1万円のビジネスホテルに500人呼ぶことも大切ですが、1泊900万円の超高級ホテルに泊るセレブを呼ぶことができれば、そちらのほうが売り上げが高い。

アトキンソン: 超高級ホテルがないということは、これまで富裕層を取りこぼしていたということになります。ただ、「来ていない」ということは、彼らにとって日本は新鮮な観光地として受け止めてくれるかもしれません。これから富裕層がやって来てお金を落としてくれる場所を整備すれば、大きなビジネスチャンスにつながるはず。

 実際にそのような動きが見えてきました。東京だけなく、京都にも富裕層が泊りたいと感じてもらえるような高級ホテルが増えてきているので、今後は期待できるかもしれません。ただ、ホテルを整備をすれば終わり、という話ではありません。前述したように「観光立国」を目指すためには、あれ「も」、これ「も」、それ「も」といった感じで、総合力で勝負しなければいけません。

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