「出世」するのは誰? “試す”ことができる人銀座で学んだこと(3/3 ページ)

» 2015年07月13日 08時00分 公開
[桃谷優希ITmedia]
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“知らない世界”として知ることを楽しむ

 Eさんは、社長夫人に「○○ブランドの最新作ですね」と話されましたが、商社で働く男性の多くはこのくらいのことは知っているので、社長夫人の記憶に残らず、月並みなことを言う人がいた、といった程度の印象になると思います。

 しかし、「今、日本で着ている……」という言葉を加えることで、月並みな褒め言葉から“できる人間”という印象に変わったはずです。

 なぜEさんはそのようなことを言えたのでしょうか。夫人の好きなブランドを知識の1つとして知っていたEさんは、パーティが開かれる前に、女性誌のページをめくるだけでなく、デパートなどに問い合わせてさまざまな情報を聞き出していたのです。もちろん、そのショップに行って最新ドレスの肌触りやラインなども確認したそうです。

 まさに「用意周到」ですよね。お店に来られる方の多くはお仕事ができますが、出世される人は、そこからプラスαの力が後押しとなるようです。

 冒頭の本田宗一郎さんの“試す”というワード。常に、「何かに役に立つかもしれない」と考える必要はないですが、Eさんのようにそれを“知らない世界”として知ることを楽しみとし、男性が1人で女性ブランドショップに行ってドレスをチェックするという“試す”行為は、彼の今後を後押しするプラスアルファになったはずです。


(写真と本文は関係ありません)

 さて、話はお中元に戻ります。お歳暮は「○○さんからはハムが届くから」「あの人からはお酒だから」といった感じで、ご家族が予定していることが多いので毎年同じモノを送りますが、お中元はあまり世に出てないサプライズ感があるモノを選ぶようにしています。

 しかし、サプライズがあるモノは失敗する可能性が高いので、私も必ず事前に買って“試す”ようにしています。会社へお送りする品はその年の王道の一品をお送りしますが、昨年の王道が今年も王道ではない場合もあるので、やはりまた試します。

 このように、食品や飲料も昨年と今年とでは雰囲気が変わることがあるので、大事な人への贈り物はいつも“試す”ことをオススメします。

 お中元はお世話になった人へのお礼の意味が込められているので、まとめ買いではなくそれぞれにあった一品を試してみるのも、気持ちが伝わっていいのではないでしょうか。

桃谷優希氏のプロフィール:

 1988年10月16日大阪府生まれ。16歳のときに処女作『デリンタ(悪魔の子)と呼ばれた天使たち』(文芸社)でデビュー。このほか『国民の声』(文藝書房)に寄稿、『罪追人』(文藝書房)、今春『赦れる天秤』を刊行予定。

 京都ノートルダム女子大学卒業後、北新地のクラブへ。クラブ「城」閉店後、銀座に移籍。銀座40周年の老舗「クラブセントポーリア」でナンバーワンの座を手にして、その後26歳の誕生日に某有名店のママに就任。


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