西武鉄道の銀河鉄道999プロジェクトに「原作愛」はあるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)

» 2015年07月10日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

夢は広がる、しかし共有できているか?

 銀河鉄道999 現実化プロジェクトについては、ITmediaニュースなどで紹介されている。詳しくは記事を読んでいただくとして、発表会とその後のシンポジウムを拝聴して、少し気になった点がある。それは、登壇者の原作に対する思いに温度差が大きいことだ。

機械の身体の実現性の話を受けて、限りある命というテーマを語る松本零士氏 機械の身体の実現性の話を受けて、限りある命というテーマを語る松本零士氏

 発表会では原作者の松本零士氏、主題歌を担当したタケカワユキヒデ氏が登壇した。この2人の原作への思いは疑いようがない。地元代表として登壇したアニメ監督の岡尾貴洋氏も、かつて松本零士氏原作のアニメ「コスモウォーリアー零」に参加し、本件をきっかけにNPO法人アニメと漫画の聖地ねりま創世会の事務局長を引き受けている。ゆめーてる商店街会長の貫井武彦氏も、3000系「銀河鉄道999」への強い思いがあるようだ。

 西武鉄道の代表として出席した手老善氏は、鉄道ファンを自称しつつ、鉄道ビジネスとのバランス感覚に長けた人物だ。銀河鉄道999の世代と言えそうだけど、ちょっと若いから「銀河鉄道物語」かもしれない。ちなみに手老氏は、かつてジェイアール東日本企画に勤務し、私の連載コラムで紹介した「鉄道キャラメル」の開発に携わった人物だ(関連記事)。鉄道を紹介するテレビ番組にもかかわっていて、「タモリ倶楽部」ではジェイアール東日本企画時代に企画で、西武鉄道の担当者として出演も果たした。

 シンポジウムに登壇した科学者諸氏も好感が持てた。機械の身体の実現性を語る比留川博久氏は銀河鉄道999の読者であった。松本零士氏に直接レクチャーするとあって感激しつつ緊張しておられた。元JAXAの小林智之氏は、食堂車など銀河鉄道の実現性について、原作を読んでスライドに反映し、紹介していた。とてもおもしろかった。

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