本当のエグゼクティブは、決して「裸の王様」にならない外資系エグゼクティブの働き方(2/2 ページ)

» 2015年07月10日 09時40分 公開
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「裸の王様」のわなに落ちないように

 ある会社の役員の話です。皆が彼を王様のように扱っていました。秘書は「彼の歩く道の前を掃き清めるような気持ちで仕事をするように」と周囲に言われていたそうです。周りは彼に聞こえの良いことだけを伝え、部下たちが大変な時間と労力をかけて精査し、決定したはずの事案も、彼がちょっと眉をしかめただけでくつがえされました。

 どんな近距離でも「お車」が用意され、食事はいつも好みのものが用意される。彼と話ができるのはマネジャー(役職の付いているスタッフ、下に部下がいるスタッフ。文字通りに人をマネジメントする人)クラスのみ。それより下のスタッフがどんな良い提案を持っていたとしても、それが役員のお気に召さないものとマネジャーに判断されれば、決してその役員の耳に入ることはありませんでした。

(画像はイメージです)

 表面でちやほやしていても、マネジャーたちは陰ではこの役員のことを「何も知らない困った上司」と言っていました。ですから、彼らが身の危険を冒してまで役員に「正しいこと」を提言することは決してなかったのです。

 結局、以前は切れ者で知られていたその役員は、 しばらくして現場から外されることになりました。なぜこのような結果を招いてしまったのでしょうか? 

 ひとえに「裸の王様」のわなに落ちてしまったからです。もし彼が自分に自信を持って、部下に何でも言える状況を日ごろから作り出していたら、自分の周りにイエスマン以外の人間をあえてそろえていたら、また、管理職以外の部下たちとも交流をしていたらどうなっていたでしょうか?

 そして周囲や部下がお辞儀をしていたのは、彼自身にではなく、彼の地位にだったことに早く気がついていたら、きっと彼は「賢い王様」になっていたと思います。

 高い地位に昇るほど、見えるものも見えなくなる。本当にできるエグゼクティブたちは、このことを常に忘れずにいます。

今回のポイント

「助言」だけでなく、「批判」も自分の肥やしになると心得る。


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