前述のとおり、人気の商品を買うべく日本で東奔西走する中国人バイヤーがいる。さらに彼らとは別に、微信や微博を活用して、新たに人気の商品を作り上げる広告代理店のような影響力のあるバイヤーもいるのだ。「アルファブロガー」という言葉にならって仮に「アルファバイヤー」とでもしよう。
アルファバイヤーは個人もいるが、組織として活動しているケースもある。アルファバイヤーは時に、日本を知らない中国人に対し、人気の商品について悪評を書き、別の売りたい商材をベタ褒めすることで、売りたい商材に誘導することもある。競争が激しい大手メーカーの商品を売っても利益が出ないため、利益率の高い中小メーカーの商品を無理やりにでも高評価にし、プッシュするというわけだ。この結果、中国人に定番だと思われていた大手メーカーの商品が突然人気をなくし、爆買いが止まったりする。
こんな話がある。2011年3月、東日本大震災と東京電力・福島第1原子力発電所の事故が起きた際、中国では「海水が汚染されるから今のうちに塩を買いだめしなければ」という情報がSNSを駆け巡り、塩を買いだめしようとする「塩騒動」が中国全土で起きた。ネット世論を積極的に研究している中国政府の分析によると、そのデマは塩で一儲けを狙う浙江省のアカウントが発信源だったという。
全ての中国人がそうとは言わないが、一部には風評被害を起こしてでも一儲けしたいと思っている者がいるのも事実だ。
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