先の見通せない時代、リーダーに必要な3つの要素とは新しい考え方(前編)(3/5 ページ)

» 2015年07月08日 08時00分 公開

最初に一歩を踏み出して飛び込んでいく

――「理」とは単なる方法論ではなく、もっと本質的な教養である、ということですね。「響」についてはどう理解しておけばよいでしょうか?

永井: そういった本質的な理解に基づいたリーダーの言葉や行動といった「有り様」は、組織に伝播していく=響く、ということですね。組織を率いていくというと、責任や辛さに耐えて、というイメージを持ちがちですが、そういうものも伝わってしまうので、気を付けたほうがよいのです。「責任感に囚われること」と「責任を果たすこと」の違いは大きいと言えるでしょう。

 先ほどの「理」にも通じる話ですが、お客さまの幸せのため、あるいは世の中をよくするためという本質を追求するのであれば、「オレが我慢しているからお前も我慢しろ」という構造ではいけません。そういう気持ちはやはり最終的に、お客さま・世の中に伝わっていってしまうからです。

――逆に「楽しい」という気持ちも響く=伝播するということですね。

永井: そうです。最後の「躍」にも通じる話ですね。

 跳躍の「躍」。つまり、現代のリーダーシップには皆を率いるというよりも、最初に一歩を踏み出して飛び込んでいく、という要素が求められています。その結果、皆がついてくるとは限らない。ついてこない人もいるでしょう。

 『リーダーシップの旅 見えないものを見る』(光文社新書、著・野田智義、金井壽宏)では、リーダーとしての第一歩は「暗い森に住む一人の青年が沼地の先に、光溢れる風景が広がると信じ、勇気を持って水の中へと一歩を踏み出す」ようなことであると表現しています。さらに「イノベーション」が求められている今日、よく分からない状況に楽しみながら飛び込んでいくリーダーが求められている。でも、イノベーションとは歯を食いしばって形にするものではありません。不確かな状況に飛び込み、その「カオス」と楽しく踊る、というのが現代のリーダーに求められている「躍」の要素なんです。

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