「世界に通用する日本みやげ」に必要な“よそ者”視点スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2015年07月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「世界にも通用する究極のおみやげ」に違和感

ファンシー絵みやげ(出典:山下焦燥院長の公式Twitter

 よく「町おこし」の現場では「若者、バカ者、よそ者が必要」なんて言われるが、当時のタカチホにはこの3要素がすべてそろっていたことがうかがえる。

 そんな黄金期を築いた「ファンシー絵みやげ」だが、バブル崩壊とともに次第に店頭から姿を消し、いまや山下院長が保存活動をするほどの「絶滅危惧種」となってしまった(参照リンク)。

 盛者必衰の理をこれ以上ないほど体現している事例ではあるが、土産屋さんの「晋ちゃん珈琲」とか「ゆるキャラ」のキーホルダーを見る限り、基本的な考えはあの時代とそれほど変わっていない。

 そう聞くと、なにやら否定的な印象を受けるかもしれないがそんなことはない。むしろ、市場規模は3兆円以上なんて言われながらも、いまだに「おらが村自慢」的な考えにとらわれている観光物産業界のなかではかなり善戦しているほうだと思っている。

 少し前、観光庁が主催した「世界にも通用する究極のおみやげ」なんてイベントがあった。「日本の食ブランドを代表する、まさに、世界にも通用する究極のお土産」を選考するため全国からお土産を募集。1次の書類選考でふるいをかけて、最終的に「目利き」と呼ばれる審査員によって9品の「究極のおみやげ」が選ばれたそうで、わりとよくニュースになったので覚えている方も多いだろう。(参照リンク

 はじめに断っておくと、ここで選ばれた9品にケチをつける気はさらさらない。実際に食べたことがあるモノもあり、「日本人に生まれてよかった」と叫びたいくらい見事な逸品もある。観光地で見かけたら間違いなく手が伸びるだろう。が、これが「世界にも通用する」のかというと首を傾げざるをえない。

 なぜかといえば、審査員の20人とオブザーバーの2人はすべて日本人。その肩書きを見れば、三越伊勢丹、東急、阪神阪急という有名デパート、紀伊国屋、明治屋という高級スーパー、さらにはJR東日本、楽天など。要するに、日本の流通業界を代表する面々が選考をしているのだ。

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