「世界に通用する日本みやげ」に必要な“よそ者”視点スピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2015年07月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。

 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。


 先日、山口宇部空港を利用した際にフライトまでかなり時間があったので土産物屋さんをぶらぶらしていたら、「晋ちゃん珈琲」なるドリップ式の珈琲パッグが売っていた。

「まだまだやります! アベノドリップ」という言葉の意味は分からないが、とにかくインパクトのあるキャッチコピーに引かれてついつい衝動買いをしてしまった。そこでふと2年くらい前にここに来た時にも「晋ちゃんまんじゅう」を買ったことを思い出した。

 当時は地元山口を代表する「キャラ」として特設コーナーがあった。あの時に比べたら品ぞろえがかなり減っている。いったいどうしたのかと店員さんに尋ねたら、バツの悪そうな顔をしてこんなことをおっしゃった。

 「いまいろいろ言われているからねえ……まあこういうモノは流行り廃りがあるからやはりつくる業者さんも大変ですよね」

 要するに、売り上げがよろしくないらしい。少し前までは「アメノミクス」という飴が売れていたが、残念ながらこちらも棚から消えてしまったとか。

 こういう状況はなにも安倍さんグッズだけの話ではない。ちょっと前に日本全国の観光土産屋を席巻した「ゆるキャラ」関連商品もふなっしーやくまモンなど一部の「勝ち組」以外は次第に消えている。やはり時代によって生み出された「キャラクター」を起用した観光土産は、時代の流れとともに消え去るものなのかもしれない。

山口宇部空港の土産物屋で売っていた「晋ちゃん珈琲」
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