ヤマトグループが宅急便事業の進出を決めた背景には、マレーシアで今後、ネットショッピングの利用者が増えていくだろうという読みがあったからだ。
「実は2000年代の後半から、海外進出のための調査を始めていました。2011年、マレーシアの経済が、当社が日本で宅急便事業を開始したころとよく似た環境になっていました。中間層が増えてきたんですよね。またネットショッピングを利用する人が増えてきたことや、外資の参入規制が緩くなったので進出することを決めました」(山内社長)
マレーシアではネットショッピング市場が日本ほど発展していない。ネット通販大手のアマゾンが進出していないことや、ネットを使って買い物をすることにまだまだ抵抗があるようだ。だが、日本からは楽天が進出し、現在、荷物の取扱数はうなぎのぼり。ネットショッピング関連の物流を早めに押さえておきたいと考え、その読みが当たった。
ヤマト運輸の進出に対し、業界からは反発の声があったという。
「当初は、同業他社から『NO』の声がありました。でも、われわれは既存の業者と競争するつもりはなく、あくまで新しい市場を作りにきたのです」
それが既存の宅配業者にはなかった、代金引換サービスであり、クール宅急便であった。「そんなサービスはうまくいくはずがない」と思われていたが、マレーシアヤマトが実績を残すようになって、競合他社の中には同じようなサービスを扱い始めた。
「競合他社が出てきましたが、新しいマーケットを拡大させるために、一緒に切磋琢磨したいと思っています」と山内社長は話す。
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