宇宙と自動車、加速する2つの業界のコラボとは?宇宙ビジネスの新潮流(2/2 ページ)

» 2015年07月04日 09時00分 公開
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日産とNASAもコラボ

 同様の例はほかにも存在する。2015年1月には日産とNASAが技術提携を発表したことは記憶に新しい。目的は自動走行システムやHuman Machine Interfaceの研究開発だ。日産総合研究所シリコンバレーオフィスとNASA’s Ames Research Centerが共同で自動走行車を開発し、資材や人の輸送を遠隔操作で行う検証などをするという。

 NASAは火星探査として1997年以降、ソジャーナ、スピリット、オポチュニティー、キュリオシティーなど無人走行ローバーの開発と実用に成功しており、こうしたプロジェクトを通じて、遠隔操作などのロボット工学の知見・経験を磨いてきた。日産のカルロス・ゴーンCEOは「NASAは遠隔操作技術で進んでおり、また人間と機械のインタラクションに関して豊富な知見を有している」とコメントする。

 一方で、Ames Research Parkのピート・ワーゲン所長は「我々は火星に探査機を送り込んできたが、宇宙のさらに深いところや危険なところにいくためには、自律制御技術を強化しなければいけない」と述べており、日産側が地上の都市環境下などで磨いてきた自動走行技術に期待を寄せる。

 このように、この2つの業界で今後さらなる提携や協業などが起きていくことを期待したい。

著者プロフィール

石田 真康(MASAYASU ISHIDA)

A.T. カーニー株式会社 プリンシパル

ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。

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