「大人の休日倶楽部パス」は本当にズルいのか?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/4 ページ)

» 2015年06月26日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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会報誌の媒体力は圧倒的、しかし利益は薄い

大人の休日倶楽部 会員向け雑誌の目次(出典:大人の休日倶楽部 入会案内サイト) 大人の休日倶楽部 会員向け雑誌の目次(出典:大人の休日倶楽部 入会案内サイト

 大人の休日倶楽部の会費収入は約52億円。もちろん丸もうけというわけではなく、専用ラウンジを設置したり、おトクな企画旅行、カルチャー教室倶楽部の料金などで還元されている。大人の休日倶楽部パスも、その還元策の1つといえるだろう。

 雑誌の発行にもお金がかかる。中1(本文1ページ)4色(カラー)の広告料金が180万円というのは、約101万部という発行部数にしては安い。単純計算して1冊1ページあたり1.78円の料金では、印刷コストを考えると利益がほとんどなさそうだ。

 日本雑誌協会によると、コミックを除いた書店の雑誌では、「週刊文春」の約67万部が最も多い。それから考えると、大人の休日倶楽部の会員情報誌は約101万部。読者のほとんどは可処分所得も可処分時間もタップリな人だから、大きな媒体力である。しかし、雑誌は広告が多くて印刷部数が少ないほどもうかる。少年ジャンプに広告が少ない理由は広告主がないわけではなく、広告ページが赤字だから。カラー広告より読者が読みたがる1色刷のマンガのほうが印刷経費が安く、売り上げに結び付くからだ。

 そう考えると、大人の休日倶楽部はJR東日本の集金システムのように見えて、年会費の大部分は会報誌の制作費かもしれない。会員にとって、年に一度、大人の休日倶楽部パスで出かけるだけでも、おトク度の高いサービスと言えそうだ。

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