塚本: そうなんですよ。実際に行ってみると、理由から話し出してしまい、結論が見えにくくなってしまう。普段会話をしていて、「自分はあいまいに話しているなあ」と気づかされますね。
話し方のポイントとしては(1)結論を先に言う(2)ナンバーリングを用いる(3)総括する――。これって英語の論理構造と似ているんですよね。英語文章のパラグラフを分解すると「トピックセンテンス」(段落の一文目で結論)、「サポーティングセンテンス」(理由・根拠説明)、「コンクルーディングセンテンス」(まとめ)という流れになっています。
土肥: 逆の例は、国会の答弁ですかね。聞かれていることに答えない(笑)。パイロット2人の間で、聞かれていることに対して答えない……こんなことを繰り返していてはダメですよね。この高度はどうだろうか? いやいや、そこは風が強い。じゃあこの高度は? いやいや、そこは雲が多い。だったらこの高度は? いやいや、そこは風水的によくない。こんな会話を繰り返していては、いろいろと問題。
塚本: 私たちは、聞かれたことに対して、ダイレクトに答える。そうした訓練をしています。
土肥: 日本人は、そうしたことが苦手ですよね。阿吽(あうん)の呼吸、空気を読むといった文化がある。
塚本: ですよね。言わなくても分かってよ、この人が言うのであればオレも賛成、とか。でも、パイロットはそれではいけません。結論を先に言う。自分の意見はこうですと。そして、なぜそう思うのか理由を言って、話をまとめる。
もちろん、理由をダラダラしゃべる日常会話を否定しているのではありません。パイロットは短時間で状況を判断して決断しなければいけないので、効率的なコミュニケーションが必要。なので「結論→理由→まとめ」の流れで会話をしているのです。
土肥: 言語技術教育を導入される前は、どんなことをされていたのですか?
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