北米マーケットでスバルが躍進を遂げている。販売台数ではまだまだトヨタとホンダに水をあけられているが、利益率では上回り、まさに絶好調。とにかく作っても作ってもクルマが足りない状態だ。躍進の原動力になっているのは、2014年に登場した「アウトバック」だ。
スバルは北米の工場をやりくりして、可能な限りの増産体制を整えつつある。年産100万台のラインも見えてきた。100万台という数字はメーカー規模の1つの分水嶺になるらしく、小規模メーカーの挑戦目標になりやすい。
スバルとしては何とかこのラインを突破し、次のステージに進みたいところだ。ただし、1990年代のマツダのように、この分水嶺を無理に越えようと背伸びをして危機に陥った前例もある。
実力に応じて粛々と売り上げを伸ばしてきたメーカーが、今まで意識しなかった100万台を視野にとらえたとき、つい無理しがちになる成長の難所の1つなのだ。今回はスバルがこのラインを越えて次のステージに進めるかどうかについて考えてみたい。
まず知っておかなくてはならないのは、現在のスバルはまだグローバルプレイヤーとは呼べないということだ。自動車のマーケットは欧州、北米、アジアの3極が基本で、次いで南米やアフリカがある。
最低限この3極のマーケットでリードを築いてこそ、グローバルプレイヤーとなり得るわけだ。具体的にはフォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー/日産、GM、ヒュンダイ、スズキがグローバルプレイヤーにあたるだろう。スズキの場合は、主戦級のクルマが軽自動車ベースであることもあって、北米マーケットは壊滅的だが、その分、アジアの新興国マーケット、特にインドではダントツの強さを誇っている。今後の市場拡大ポテンシャルでほかのグローバルプレイヤーから羨望の眼差しを浴びていることを見れば仲間に入れてもいいだろう。
次に各マーケットの特徴だ。北米は世界の自動車メーカーの草刈り場となってきた。ビッグ3のホームグラウンドでありながら、実は海外ブランドに非常に開かれたマーケットになっている。そのため、先進国マーケットの主戦場として1980年代以降、「北米を制するものは世界を制す」として長らく激しいシェア争いが行われてきた。
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