1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
数年前に行きつけの飲み屋で、電車の運転士さんと意気投合した。彼とはそれ以来、その飲み屋で会うだけ。ほかの付き合いはないし、店で待ち合わせることもない。ぶらりと店に寄ったときに挨拶し、お互いに連れがいなければ相席して会話する程度だ。彼の仕事は私の興味の対象だから、楽しく拝聴している。もっとも、彼が働く路線に乗っても、彼の運転士姿を見たことがない。もしかしたら、運転士だなんてウソかもしれないけれど……。
そんな彼が、意外な言葉を口にした。
「最近、電車の運転が、つまらないんです……」
「えっ、前に、電車の運転はやりがいがあるって言ってたよね。どうしたの、もしかして、飛び込み(人身事故)に遭遇しちゃったとか」
「いや、そうじゃないんですけど……」
電車の運転は、私たち鉄道ファンから見れば楽そうな仕事だ。鉄道博物館などの運転シミュレーターは大人気コンテンツだし、かつては「電車でGO」というゲームがブームになった。駅構内で本物の電車を運転体験するイベントもある。私が攻略本にかかわっている鉄道会社経営ゲーム「A列車で行こう」シリーズも、最新作「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ(Windows版)」で運転モードを搭載した。自分で作ったダイヤ通りに列車を走らせて……おっと、これ以上は話が長くなるから別の機会に……。
彼は私と違ってきっちりと仕事をする真面目なタイプ。運転士の仕事にやりがいを持っていて、私は彼の仕事の話を楽しく聞いていた。そんな彼が「運転がつまらない」と感じた理由を聞いてみると、どうやらそれは、鉄道ならではの問題でもあり、勤め人に共通する問題でもあるようだ。前もって書いておくけれど、今回の話に結論はない。ストレスと勤労意欲について考えるきっかけになればいい。
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