なぜ田中将大はメジャーでも通用しているのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

» 2015年06月18日 08時25分 公開
[臼北信行ITmedia]
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タナカはやはりスゴい男

 その現われの1つが、米国におけるライフスタイルだ。田中はホームゲームの試合を終えると、決まって真っすぐ家に帰る。遠征先においても関係者と飲みに行くようなことはまずしない。自宅のあるニューヨークにいる時は愛妻の手料理を食べ、ビジターゲームでニューヨークを離れている際には基本的に球場で用意された食事で済ませる。「ブレない姿勢」を貫いている何よりの証拠といえるのではないか。

 ニューヨークの地元放送局『YES』で解説を務め、1994年にはサイ・ヤング賞にも輝いた元ヤンキース名投手のデビッド・コーン氏に田中について聞いてみると「私もキミの考えと同じだよ」と述べ、次のような興味深いコメントを続けた。

 「確かにメジャーリーグに入っただけで舞い上がってしまう日本人選手もいた。例えば米国に来たからとうれしさの余り、外食で暴飲暴食を繰り返し、コンディションが狂って、それで結果を残せずクビになったケースもあった。だがタナカに至っては、そんなことなど、この先も絶対にないだろう。彼のベースには『自分は野球をやるためにメジャーリーグへ来た』という信念があるのだ。そういう揺るぎない精神力があるからこそ、異文化のさまざまな“誘惑”にも屈することがない。

 これは当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、そう簡単にできることではない。日本からメジャーに来た選手は大半が一度、日本のプロ野球界で名声を手にしている。だからストイックになり切れないのだ。しかし、次に挙げる選手は別格だ。イチローや、マツイ(松井秀喜氏=元ヤンキースなどでプレー)、クロダ(黒田博樹=現広島)……比較的新しく若い選手で言えばダルビッシュ(有=レンジャーズ)か……。

 そういったメジャーリーグで成功した日本人選手に共通するストイックな部分をタナカも持ち合わせているということ。だが、あの若さで名声を手にしたら自分に甘えが生じてしまってもおかしくはないはずだが……。タナカはやはりスゴい男だと思うよ」

 自分が進むべき道を見失わず、最後までまい進する。絶対にブレない、強い精神力を持ち続ける田中の心構えはビジネスパーソンの人たちにとってもグッと引かれる要素があるのではないだろうか。今後も田中の力投に注目したい。

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