コラム
» 2015年06月16日 06時00分 UPDATE

秒速7.8キロメートル:「宇宙に行くため」ではない――ロケットの本当の役割とは? (1/3)

2015年4月、低コスト化への鍵である“ロケット再使用”のための着陸実験が行われた。実験は失敗に終わったが、“ロケット”とは一体、どういう物なのかを考察する。

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 テスラモーターズCEOであるイーロン・マスクは宇宙開発を積極的に進めていることでも有名です。彼が手掛けているのがSpaceX社のロケット「Falcon9」。宇宙をもっと身近にするために徹底的な低コスト化を推し進めており、現在は国際宇宙ステーション(ISS)への補給船としても使われています。

 2015年4月、低コスト化への鍵である“ロケット再使用”のための着陸実験が行われました。今回で3回目となる本実験、結果は失敗に終わってしまいましたが、世界的企業家でもあるイーロン・マスクがここまでこだわっている“ロケット”とは、一体どういう物なのでしょうか。

※今回、記事内での“ロケット”という言葉は、人工衛星の打ち上げなどに用いられる“宇宙ロケット”の意味で使用しました。そもそもロケットの定義はもっと広いもので、「自らの質量の一部を後方に噴射にその反作用によって進む力を得る装置」となっています。

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宇宙へ行くための乗り物?

 ロケットの役割は何か、と聞かれたらほとんどの人はこのように思うのではないでしょうか。

 「宇宙に行くための乗り物なのでは?」と。

 厳密に言うとこの回答はあまり正しくはありません。決して間違いではないのですが、ロケットは「消防車は火事現場に行くための乗り物」と同じ表現です。

 間違いとは言えないが、正しい説明とも言えない――と、思ったのではないでしょうか。違和感の理由を想像できる人も少なくないと思いますが、それは「その物の1番重要な役割に触れていない」からです。

 消防車の1番の役割とはもちろん“火を消すこと”です。火事現場に行くだけなら乗用車でもいいのです。「ロケットは宇宙に行くための乗り物」という表現もまさにこれに当てはまります。つまり、その物の1番の役割を説明していなければ、それは本当に説明したことにはならない、ということです。

行くだけなら気球でもよい

 なるべくお金をかけず、設備的にも簡単に宇宙の近くへ行く方法があります。それは気球に乗ることです。

上空100キロメートルくらいからが宇宙空間と呼ばれていますが、50キロメートル程度までなら気球でも十分に到達することができます。本当に宇宙へ行くことだけが目的ならば、上がれるところまで気球で上がり、そこから別の方法で上昇すればよいのです。そうすれば50キロメートル上昇するのに必要な分の燃料を節約することができます。

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