ライザップを急成長させた「ちょびっとしんけん」とは何か?スピン経済の歩き方(3/4 ページ)

» 2015年06月16日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「言葉」はビジネスの成否をわかつ生命線

 そんなのただの“言葉遊び”だろと思うかもしれないが、ライザップのような「儲美頭信健」にとって、「言葉」というのはビジネスの成否をわかつ生命線なのだ。「言葉」によってバカ売れもするし、「言葉」によって追いつめられる。

 例えば、ネット通販なんか典型的だ。商品を手にとることができないので、宣伝文句や説明文が重要になるのだが、勢い余って饒舌(じょうぜつ)になり過ぎると景品表示法やらにひっかかる。

 「健康オンラインショップ」というサイトもそうだった。ここの売れ筋商品である「豆乳クッキーダイエット」を、「1食分の栄養をしっかりカバー」とうたったが、実は栄養素は1日の食事摂取基準の3分の1を満たしていなかった。

 「ボニック」という痩身器(そうしんき)もヘタをうった。「通常価格2万5000円 約96%OFF 980円」とディスカウントストアも裸足で逃げ出すような値札をつけたが、実はこれでは買えない。定期コースに加入して一定期間、1本数千円のジェルを買い続けるか、ジェルのセットを購入してなくてはならなかったのだ。役所が言うところの「有利誤認」である。

 こういう「言葉」のダメ出しを13件くらって、東京・埼玉・千葉・神奈川・静岡という5都県から2012年9月4日に改善指示を受けた。そんな「健康オンラインショップ」を運営していたのは、「健康コーポレーション」。言わずもがな、ライザップの運営元だ。

 自治体から叱られた企業だから怪しいもんだとか主張したいのではない。このような「言葉」を扱ってきた通販ビジネスの実績があるからこそ、ライザップは他のプライベートジムにはなしえなかった成功をおさめることができたということが言いたいのである。

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