「earth music & ecology」がブランド名を“壊した”理由アパレルビジネス風見鶏(1/3 ページ)

» 2015年06月16日 08時00分 公開
[ふじいりょうITmedia]

アパレルビジネス風見鶏:

 食・住と共に生活に欠かせない衣料品だが、日本のファッション市場の規模は18兆円(2013年・経済産業省調査)と縮小傾向にある。一方で主要国や中国では拡大しており、ローコストなファストファッションの台頭もあり、国際間の競争が激しさを増している。

 そんな荒波の中、日本のアパレル企業がどのような戦略で臨んでいくのか。また日本へと進出する海外ブランドの狙いは何か。本連載でその謎に迫っていく。


著者プロフィール:

 ブロガー/ライター。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、メディア・カルチャー・ネット情報を題材にするかたわら、月数十冊は読み込むファッション誌も遡上に。アパレルメーカーのブランド戦略からユースカルチャーでの受容のされ方まで幅広く追い続けている。メンズ・レディスを問わず好きな服を好きなように着る“乙女男子”でもある。Twitterアカウント:@parsleymood


クロスカンパニーは女優の宮崎あおいさんをアパレルブランド「earth music & ecology」の広告に起用した

 女優の宮崎あおいさんを起用した「あした、なに着て生きていく?」と問いかけるCM・広告を展開し、20代の女性を中心に確固たる存在感を発揮しているクロスカンパニーのアパレルブランド「earth music & ecology(以下アース)」。

 1999年の設立以来、一貫してナチュラルガーリーなアイテムを発表し続けているブランドの強みについて、クロスカンパニー アース事業部販促チーム次長の中村雅美氏は「今の女の子のマインドは、おしゃれだと思いたいし思われたいけれど、他の人と違った目立つ格好をしたいかというとそうではなく、自分のいる領域になじむようにしたいという意識が強い。その“なじみたい”感覚を保つのにアースの世界観はちょうどいいんです」と分析する。

 特に2010年から放送しているCMは宮崎さんの透明感ある魅力を前面に打ち出し、「20代だけでなく、高校生から30代以上の主婦層まで、幅広い世代に浸透するようになりました」(中村氏)といい、店舗での告知と連動したプロモーションがブランドの認知度を広げる役割を果たした。

 だが、2015年3月に放送されたCMはこれまでと様相が違っていた。宮崎さんが笑顔で店内のポスターをスプレーで汚していき、ハンマーでショップ内の「music」のロゴを破壊する。これまでのブランドのイメージとは真逆のパンクなシーンに、多くのファンや関係者が驚かされた。同時に「music」の部分が空欄になった店頭ポスターが配布され、「店舗スタッフも答えが分かっていない」(中村氏)状態だったという。

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