関: 奥西さんは1997年に米国に来られたそうですね。当時は学生で、その時は“米国南部 のニューオリンズに向かわれた”とか。大学卒業後にロサンゼルスに引っ越しされて、日本人が経営されているIT通信業の会社に入られたとうかがっています。
奥西: そこで電話周りのエンジニアをやりました。本当は、電話よりもコンピュータに近いところに興味があったんで、しばらくしてインフラのほうに異動させてもらいましたが。その会社はニューヨークに本社があり、ある時本社転勤の話が舞い込んできました。それまでは特にニューヨークに行きたいという希望はなかったんですが、業務内容が本社のほうが面白そうだったので、行ってみようかなと。それが2004年のことです。その後、コンピュータのインフラのほうでずっと仕事を続け、マネージャーも経験しました。キャリア的には、ずっとエンジニアです。
関: 最初に勤めた日系の会社は、日本人が多い環境だったんですか?
奥西: そうですね、マネジメントは日本人ですが、実際我々のような現場レベルは、米国在住のアジア人と、日本人のミックスでしたね。お客さんに関しては同じ日系企業でも、ベンダー対応部署が全員米国人だったり、もしくは完全に日本人だったり。そこはケースバイケースでした。
関: ニューヨークに来られたのが、2004年ですよね。それ以来は、ずっとニューヨークですか?
奥西: ほぼそうですね。日系の会社を辞めた後に、旅行会社のスタートアップでインターンシップをやったり、銀行のコンサルティングをしていたのですが、その会社もニューヨークでしたし、今勤めているZocDocもニューヨークのオフィスに勤務しているので(※ZocDocのオフィスはニューヨークの他に、アリゾナ州フェニックス、インドのプネーにある)。
関: ZocDocに落ち着かれた、いきさつについて教えてください。
奥西: 先ほどお話した旅行のスタートアップでビジネスプランを考えていた時に、情報収集を兼ねて「ミートアップ(MeetUp)」(同じ興味関心を持った人々が、「ミートアップ」を通じて知り合えるWebサービス。ビジネスだけでなく、趣味や教育、育児など、ミートアップを起点に開催されるイベントは多数ある)に行くようになったのですが、そこで米国のソフトウェアエンジニアの人たちと話す機会が増えたら、いろいろ自分の思いと重なるところがあり、有望なスタートアップで働いてみたいと思うようになりました。また彼らとの会話を通じて、次第にインフラからソフトウェアに興味を持つようにもなりました。
関: なるほど。その時に、ソフトウェアエンジニアへの興味が芽生えたと。
奥西: はい。ミートアップで若い人を中心に、いろいろな人と話をして自然に興味が出てきたという感じですね。
関: ミートアップのよいところは、人とのコミュニケーションを通じて、情報を得られることです。最新の話題について自分で調べると時間も労力もかかりますが、ミートアップに行っていろいろな人と話すと皆が情報をくれるので、すごく勉強になります。
もちろん中には見当違いのことを言っている人もいますが、そういうものも含めて新しい情報に触れられる機会というのは、オフィスにいて通常業務をこなしているだけだとなかなかないですからね。奥西さんは、そんなミートアップをきっかけにスタートアップへの興味が増し、ZocDocに転職されたんですね。
奥西: ええ。それまで行っていたコンサルの仕事も面白かったのですが、やっぱりテクノロジーのスタートアップに対する興味が捨てきれなくて。ニューヨークにあるスタートアップに絞って仕事を探し、サービスとして急成長を遂げていたZocDocに決めました。
実は、最初はインフラのコントラクター(契約社員)として入社したのですが、入ってすぐに、「本当はソフトウェアがやりたいんです……」と会社に伝え、職種を変えてもらったんです。自分のバックグラウンドを生かして入社し、社員になった瞬間に希望を伝え、かなえてもらう。一見無謀ですけれど、こういう要望が通りやすいのが、スタートアップというか、今の会社の魅力ですね。古い体質の会社だと、米国ではなかなか職種の変更は難しいですからね。
関: そうですね。その時、周りはどんな反応でしたか?
奥西: きちんと説明し、上司やチームメンバーに理解してもらったので、特にトラブルはなかったです。それからチームでプランを組み、無事インフラからソフトウェアに異動することができました。本当、会社に入ってすぐのことです。
関: その時のZocDocの規模はどのくらいでしたか?
奥西: 400人はいってなかったですね。300人くらいかな。
関: じゃあ、小回りがギリギリきくくらいの感じですね。
奥西: ええ、小回りギリギリですね。
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