「私たちの強みは通信会社としての各社の長所、短所を知っていること。その上で各キャリアと提携していることです。この情報ではローカルの人たちにも負けない自負がある。日本のように、通信各社についての情報が行き渡っていないマレーシアでは、各通信キャリアについて個別の情報を知っている人はいますが、会社として全情報を共有して商品にしているところは少ないのです」
また、情報セキュリティに関しても強みを発揮する。マレーシアのIT環境は“おおらか”で、データの漏えいやセキュリティーに関して気をくばっている企業はまだ少ない。「現在ヒットしているのは、電子メールで添付ファイルを送信するとき、添付ファイルを自動的に暗号化し、数分後にパスワードを送るというソフトです。こういったソフトを紹介すると喜ばれます」
マレーシアの企業から“オフィスづくり”を受注することもある。しかし同社の根底にあるのは日本流のオフィス。そこをどう現地に受け入れてもらうのか?
オフィスにはマレーシアと日本の文化の違いも現れる。特徴的なのはパーテーションの高さだ。日本では机を島型に配置し、コミュニケーションを取れるようにするのに対し、こちらではパーテーションは高くし、プライバシーを重視することが求められる。また、重役になると個室を要求するのもこちら風だ。
「日本人はメールでもCcを使って情報を共有しますよね。ところがこちらでは仕事はあくまで個人に属するものと考え、同僚と共有したりしません」
現地の企業からは日本風のオフィスを見学したいという希望もある。
「見学したお客さんが驚くのが、会議室。日本人は会議が好きで、日本風の会社はどこも社員が集まる大きな会議室を作ります。一方、こちらでは小さなテーブルをたくさん置いたほうが、風通しのよいコミュニケーションができるといいます。人数が多すぎるとコメントが出てこなくなってしまうというわけです」
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