日本に逆輸入! KDDIの“まるごとオフィス”とは新連載・東南アジア発、気になるニッポン企業(2/4 ページ)

» 2015年06月11日 08時00分 公開
[野本響子ITmedia]

 吉川さん自身もすでにマレーシアに6年弱いる。「長くいると、人のつながりや法律、国の仕組みがだんだん分かってきます。その人脈を紹介し、ノウハウを伝えることができます。また日本にありローカルにないものも見えてきました」

 この事業はもともとKDDIの海外の事業所で始まり広がったのち、最近、日本に逆輸入された。それが「株式会社KDDIまとめてオフィス」である。

携帯電話会社としてのノウハウを生かす

KDDI マレーシアの受付

 同社の強みはネットワークに強いこと。携帯電話会社であった前身を生かし、マレーシアの現地通信会社とも提携する。

 「マレーシアのクアラルンプール国際空港ではある特定のキャリアのネットワークが強いという情報があります。しかしそんな情報は現地の人でも知る人はごくわずか。ですから、事業所をどこにつくるかを聞いて、最適なキャリアをご紹介したり、バックアップに適したキャリアはどこがいいかといった相談に乗ることが可能なんです。ノウハウを長年蓄積しているのが弊社の強みです」と胸を張る。

 日本では知名度の高いKDDIだが、マレーシアでは無名だ。では「日本流」はどのようにマレーシア人に受け入れられているのか? 

 「システムインテグレーションを扱う会社はマレーシアにもたくさん存在します。正直なところ、現地の彼らの仕事は非常にスピードが速く、日本流では追いつかない。しかしながら、質はそれなりで、お願いしたこと以上のことを提案する現地の会社はごくわずかです。キャリアや回線の情報を含めた、全方位的なコンサルティング会社というのはマレーシアには存在しないんです。ここにチャンスがあります」

 日本人の感覚からすると、一見して無駄なものにお金をかけているケースもある。そこを指摘して、コスト削減を提案すると、驚かれることもあるという。バックアップのつもりでネット回線を2回線引いているのに、実は母体が同じ回線で、バックアップの意味をなしていないケースも。固定回線4社、モバイル回線4社が乱立するマレーシアで、これらの情報を整理して伝える情報源は少ない。

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