GEが「GEキャピタル」を売却、その狙いは撤退(1/4 ページ)

» 2015年06月10日 10時30分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 GEが長年の懸案、GEキャピタルの売却を公式に発表した。そのスケールもインパクトも例外的だが、意図はこれ以上ないほど明確である。

 今年の4月上旬、米GEのジェフリー・イメルトCEOは金融事業から事実上撤退するという大胆なリストラ方針を正式に表明しました。GEキャピタルとして知られる世界有数の金融機関で、その保有資産たるや5000億ドルという途方もない金額です。巨人・GE全体の売上の3〜4割を占める巨大ビジネスであり、利益ベースでは半分近くを稼いでいるというのが実態です(関連リンク)。

 こうした超巨大企業による主力事業の切り離し・売却というのは、日本では似たような事例がほとんどないので、これがどれほどすごいことなのか、一般の人にはなかなかピンと来ないでしょう。例えて云えば、シャープがテレビを中心とする家電事業を売却するようなものでしょうか、しかも経営が左前にならないうちに。

 海外では巨大企業におけるこうした思い切った事業ポートフォリオの組換え事例が、10年に一度ほど発生します。例えば農薬と種子・バイオテクノロジーの世界的リーダー企業である米モンサントは、主力だったPCBなどの汎用化成品を思い切って売却しています。IBMが 中国のレノボにPC事業部門を売却した事例は有名ですね。通信機器大手ノキアはかって携帯電話メーカーとして世界首位でしたが、スマホで出遅れてサムソンに抜かれた時点で携帯電話事業を手放し、通信設備事業に集中しています。

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