お菓子の新商品が、なかなかヒットしない理由水曜インタビュー劇場(お菓子公演)(4/6 ページ)

» 2015年06月10日 08時05分 公開
[土肥義則ITmedia]

1990年代のお菓子事情

土肥: 次に、90年代はどういった動きがあったのでしょうか?

松林: 90年代半ばに、いわゆる“アムラー・ブーム”が起きました。茶髪のロングヘアー、ミニスカート、厚底ブーツなど安室奈美恵さんのファッションスタイルを真似る女性が増えていきました。また、働く女性が増えてきて、そうした層を意識した商品が登場しました。例えば、1995年に「じゃがりこ」(カルビー)。先ほども申し上げましたが、かつてお菓子は家族と一緒に食べるケースが多かったのですが、このころになると持ち運べてひとりでも食べることができるモノが増えてきました。

 それまでスナック菓子といえば、圧倒的に男性が食べるモノでした。しかし、じゃがりこの登場によって、スナック菓子が女性にも受け入れられるようになりました。

 ただ、美容を気にする女性って多いですよね。「甘いお菓子を食べると太ってしまう。でも食べたいなあ」と思っている人たちをターゲットにした、ノンシュガータイプのチョコが登場しました。例えば、1996年に「ゼロ」。糖分の摂取をできるだけ少なくして、「自分も安室奈美恵さんのような体型になりたい」という人が多かったのでしょう。

女性向けに開発された「じゃがりこ」

土肥: 「ほー」とか「なるほど」とか頷いていると、読者から「ドイは邪魔だ。松林さんの話を聞かせろ」という声が届きそうなので、つづきをどうぞ。

松林: では遠慮なく。90年代後半に入ると、いわゆる“ナチュラル系”の女性に人気が集まりました。女優の田中麗奈さんや上戸彩さんなど。昔のアイドルは外見が重視されていましたが、このころになると「歌唱力」や「演技力」も求められるようになりました。多様化が進んでいったわけですが、お菓子にも同じような傾向がありました。「素材」を重視する商品が出てきまして、例えば1998年に「甘栗むいちゃいました」(カネボウフーズ)がヒットしました。

80年代半ばから90年代に発売された主なお菓子

発売年 メーカー名 商品名
1985 ロッテ のど飴
1985 キャドバリージャパン クロレッツ
1986 味覚糖 龍角散のど飴
1987 江崎グリコ キスミント
1987 ヤマザキナビスコ オレオ
1988 明治製菓 果汁グミ
1991 カルビー ダース
1991 カルビー フルーツグラノーラ
1994 湖池屋 ドンタコス
1994 ロッテ トッポ
1995 カルビー じゃがりこ
1996 ロッテ ゼロ
1997 フレンテ ピンキー
1997 ロッテ キシリトールガム
1997 明治製菓 キシリッシュ
1998 カネボウフーズ 甘栗むいちゃいました
1999 明治製菓 フラン

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