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» 2015年06月09日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由 (1/4)

日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。

[窪田順生,ITmedia]

スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。

 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。


窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


 先日、渋滞にハマってしまい気晴らしでFMラジオをつけたら、歌手の福山雅治さんがご自身の番組のなかで、日本の「観光」について話をしていた。

 運転しながらなのでうろ覚えだが、2014年の訪日外国人観光客数が1300万人を突破して過去最多を記録したというトピックスを導入に、実はこの数字は韓国、香港、タイよりも少なく、世界を見渡しても「26位」という事実を紹介。この結果は、福山さんも意外だったようで、「あれ? クールジャパンとか“おもてなし”とかが世界から高く評価されていると言われているわりに……」みたいな感じでしっくりときていないご様子だった。

 こういう反応は恐らく福山さんだけではないだろう。

 テレビでは毎週のように、「日本がスゴい」「日本の技術は世界一」みたいな番組が放映されている。外国人観光客にマイクを向ければ、みな日本を大絶賛している。先日も『ネプ&イモトの世界番付』という番組で、外国人たちにアンケートを行って「日本は世界一治安がよい」なんて大いに盛り上がっていた。

 こんなに素晴らしい国であることに加えて、オリンピックの開催も控えている。まあベスト10くらいには当然入っているでしょと思いきや「圏外」なのだ。しかも、最近なにかとバチバチやっているあの韓国よりも不人気という事実に少なからずショックを受ける愛国心溢れる方も多いのではないだろうか。

 ただ、残念ながらこれが現実なのだ。

 国際社会で「観光大国」と認識されているフランスは年間8400万人の外国人が訪れている。アジアでもタイなんかは2600万人が訪れている。日本はちょっと前まで900万人くらいしか外国人が来ていなかったことを考えると、ケタがひとつ違う。もはや「後進国」と言ってもさしつかえないレベルだ。

 ついでに言えば、日本にやってきている外国人観光客というのはほとんどが中国、韓国、台湾という“周辺国”で占められている。要するに、日本というのはお隣さんたちがちょっとした休みに遊びにくる国であって、我々が旅行会社のヨーロッパ旅行やハワイ旅行のチラシを見て、「有休とれたら行ってみたいなあ」と憧れを抱くような国ではないということだ。

 分かってないなあ、憧れているけれど物価が高かったりして来れてないのよ、と考える方たちもいるだろうが、日本人旅行者がフランスやドイツに年間70万人程度訪れている一方で、ドイツやフランスの旅行者が日本を訪れるのはわずか十数万人程度。この現実がすべてを語っている。

年別訪日外国人数の推移(1964年以降、出典:JTB総合研究所)
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