食事だけじゃない――運動が腸内細菌に与える効果とは腸内細菌は百兆個

» 2015年06月05日 06時00分 公開
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 私たちの腸内には数百種、百兆個に及ぶ多種・多様な細菌が住んでおり、それらは集合体を形成しています。この細菌の塊は腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)または腸内フローラとよばれ、最近の研究で肥満やアレルギー、皮膚疾患、脳、神経系疾患にも影響を与えることが分かってきました。

 また、腸内にいる微生物の種類も重要で、微生物の多様性が少なくなると自閉症や胃腸の病気のリスクが高くなることが報告されています。

 これまで、食事や現代的なライフスタイルが腸内微生物と関連することが分かっていた一方で、運動との関連については解明されていませんでした。アイルランドのコーク大学の研究グループが、腸内微生物に関する運動と食事の効果を調査したので紹介します。

トップアスリートの腸内を調べたところ……

(画像はイメージです)

 研究グループは、一般の人の運動量と食事の内容が明らかに異なる国代表のラガーマンを選んで調べました。腸内微生物を同定するため、特定の遺伝子の配列を解読しました。

 一般の人との測定結果を比較した結果、極度の運動の指標となるキレアチンキナーゼの値に差があるだけでなく、ラガーマンでは炎症性マーカーが低く、代謝マーカーの値も良いことが分かりました。

 腸内微生物の分析の結果、ラガーマンの腸内には、分類学上、22種の門分類に分かれる微生物が存在しており、一般の人より多様な微生物がいることが分かりました。この微生物の種類は、タンパク質の消費量やクレアチンキナーゼの値が高くなると増えることが分かりました。


 今回の研究により、運動は腸内細菌の側面からも健康に良い効果を与えていることが分かりました。一般の人が適度な運動をしたときも、ラガーマンと同じような結果となるのか気になるところです。

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