「出世」してきた人たちの共通点新連載・銀座で学んだこと(2/3 ページ)

» 2015年06月02日 08時00分 公開
[桃谷優希ITmedia]

パーティーもゴルフも仕事

 日が傾き出した夕方5時過ぎ。とある会社の社長主催のパーティーが都内の中華料理店の大広間で開かれました。

 ほとんどの社員が出席し、社外からもお祝いに駆けつける人たちで会場は溢れるほど。一次会が終わり、二次会が終わり、このころになると夜の街に繰り出す組や帰宅組など散り散りバラバラ状態。私は社長さんたちとご一緒させていただきき、三次会を楽しんでいました。

 Aさんも参加されていて、私は彼の隣に座ることに。「Aさん、お元気そうで。そういえばお嬢さまはお元気ですか?」と聞いたところ「おかげさまで、明日朝5時半出発でピクニックなんですよ」という返事がかえってきました。よくよく話を聞いてみると、Aさんも明日は接待ゴルフがあって、朝の5時ごろに家を出なければいけないとのこと。ということは、できるだけ早く家に帰りたいはず。

 しかし、パーティーはなかなか終わりません。その後、一行はカラオケに繰り出し、気がつけば窓の隙間から朝焼けが見えてきました。結局、Aさんは着替えるために自宅に戻り、そのままゴルフに行かれたそうです。

 ちなみに、Aさんはこの会社で1位・2位を争うほどのトップセールスマン。そんな実績のある方の接待ゴルフといえば、会社にとっても重要な仕事なので、パーティーの席で「明日、ゴルフがあるので、お先に失礼します」と言って帰っても、誰も文句は言わないはず。

 しかし、Aさんは違っていました。「それはそれ、全く別の話です」とサラリと話されていました。Aさんにとって、パーティーの席で目の前にいる方々とお話することはとても大事な仕事。また、一緒にゴルフをすることもとても大事な仕事。「優劣はない」というのです。最近は「夜の飲み会には出席しない」という若い人が増えているそうですが、Aさんにとってパーティーだろうがゴルフだろうが、夜だろうが朝だろうが、全く関係ありません。目の前にいる人たちとの会話によって知識を吸収し、自分にとって必要だと思われることには時間を気にせず接し、周囲の人たちから信頼を得ているのです。

 そんなAさんのことを、上司のBさんはどのように思っているのでしょうか。朝までカラオケを楽しんで、そのまま接待ゴルフに駆け付けた話をすると、Bさんは「そういうときには早く帰らなくちゃ」と言ってうれしそうに笑っていました。なぜ、うれしそうに笑っていたのか。それは、若きころの自分の姿と重ね合わせていたのでしょう。

 Bさんの年齢は65歳。「昔は明け方まで飲んで、そのまま仕事に行っていたなあ。そして、その晩また飲みに行って(笑)。でも疲れを感じなかったよ。そんな生活を送っていたけれども、常に全力で動いていたら、なぜか仕事がうまく回っていたからね」と。

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