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» 2015年05月29日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:地方鉄道活性化に「旅ラン」のご提案 (3/4)

[杉山淳一,ITmedia]

地方鉄道とランニングは相性が良い

 市民マラソン大会は、文字通り「地元市民が走るイベント」だと思っていた。しかし、実際は前述のK氏のように、各地のマラソン大会に出場する人々がいる。これは日本全国の鉄道路線を巡る「乗り鉄」に通じる趣向だ。ランナーの主目的はマラソンだけど、現地の食事を楽しみ、観光もする。マラソン大会自体は朝にスタートすれば午後早い時間に終わるから、旅を楽しむ時間もあるという。

 マラソン大会はスポーツイベントだけではなく、観光イベントだ。大手旅行会社のサイトを見ると、JTBは「JTBスポーツステーション」で各地のスポーツ大会の情報を発信し、参加受付業務も手掛けている。往復交通手段や宿泊をセットにしたツアーパッケージもある。日本旅行も「国内スポーツ特集ページ」でツアーメニューを揃える。人気の高いマラソン大会については、出走権付きツアーもある。クラブツーリズム、阪急交通社は海外マラソンツアーを募集していた。

 マラソン大会が全国で170以上も開催されると、人気、不人気もあるだろう。K氏によると、ランナーの評判がいい大会は、荷物預かりや入浴などの施設が完備されていることに加え、景色の良さ、沿線の人々の応援が賑やか、給水ポイントのもてなしなども大切とのこと。

女性に人気の「スイーツマラソン」。給スイーツ所でケーキを配布する。現在、「山口・周南大会、広島大会、千葉大会のエントリーを受付中(出典:スイーツマラソン公式サイト) 女性に人気の「スイーツマラソン」。給スイーツ所でケーキを配布する。現在、「山口・周南大会、広島大会、千葉大会のエントリーを受付中(出典:スイーツマラソン公式サイト

 給水ポイントでフルーツやひとくちサイズのケーキが提供される「スイーツマラソン」という分野もあるそうだ。「禁欲的に身体を鍛える」という、私のマラソンに対する認識は間違っていた。マラソン大会は、もっとカジュアルに、旅のように楽しむランスポーツであった。

 そうなると、地方鉄道と「旅ラン」は相性が良さそうだ。ローカル線の沿線は景色が良いし、駅を拠点に沿線の人々も集まりやすい。起点駅でエントリーし、列車に荷物を預けて走り、終点駅で受け取れたら、スタート地点に戻らないワンウェイのコース設定もできて、ランナーは常に新しい景色を見ながら走れる。

 途中駅を給水ポイントにできるし、終点駅でゴールしたら、帰りは列車にゆられて缶ビールで祝杯を挙げられる。地方鉄道会社と地元自治体が組んで、「Rail&マラソン」を企画しても良さそうだ。参加料と片道きっぷをセットで売ったみたらどうだろう。

 島根県津和野町では、毎年3月に「つわのSL健康マラソン」が開催されている。津和野はJR西日本の山口線の駅がある。「SLやまぐち号」の終着駅だ。構内にD51形が保存されており、街のシンボルになっている。惜しいところは、マラソン大会の時期は「SLやまぐち号」の運行期間外だ。ランナーとSLが一緒に走れたら、ランナーも楽しいし、乗客も車内から声援を送れる。お互いに良い思い出になると思う。

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