世界で戦うために“やってはいけない”ことは? もっと「個」で行動しよう日米のビジネス事情の違いを知る(後編)(1/5 ページ)

» 2015年05月29日 08時00分 公開
[公文紫都ITmedia]

 ニューヨークでSix ApartのCEOを務める関信浩氏が、日米のビジネス事情の違いを知り日系企業の米国進出を後押しするべく、米国ビジネスに精通した日本人アントレプレナーや、日本とのビジネスに興味を持つ外国人アントレプレナーと対談する当企画。

 第1回のゲストとして、機楽株式会社代表取締役兼ロボットデザイナーの石渡昌太氏をお迎えし、「今注目のIoTの現場から、日米のビジネス事情の違いを知る」というテーマで対話しています。前編は、日米のキャリアパスの違い、ビザ取得の難しさなどを話し合いました。後編では、日本人が世界で戦うために改善すべき点について議論を交わします。

プロフィール:

石渡昌太(いしわたり・しょうた)氏

「かわいい」と「テクノロジー」を組み合わせて、“少し未来”を表現するクリエイター。 プロダクトデザイン、組込み開発、展示製作やそのアートディレクションを行う。造形から縫製、機械設計、回路設計、プログラムまで一貫して一人で開発。 2011年にはnecomimiのプロトタイプ開発に携わる。同年、機楽株式会社を設立。2013年にロボット組立キット「RAPIRO(ラピロ)」をクラウドファンディングサービス「Kickstarter UK」で発表し、1000万円以上を調達。その後、国内のクラウドファンディングサービス「Makuake」でも500万円以上を調達し、RAPIROの製品化を実現。

関信浩(せき・のぶひろ)氏

米Six ApartのCEO 兼 米Infocom Americaの取締役務める関信浩氏。1969年、東京生まれ。1994年、東京大学工学部卒。1994年から2003年まで、日経BP社で編集や事業開発に従事。 2002年カーネギーメロン大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。カーネギーメロン大学在学中に、ビジネスプランコンテス トで特 別賞などを受賞。2003年12月、シックス・アパート株式会社を設立し代表取締役に就任(2015年5月より顧問)。2013年6月よ り米Six ApartのCEOに就任(現任)。2015年5月より米Infocom Americaの取締役に就任(現任)。2015年に米FabFoundryを設立。


団体ツアーに参加せず1人で行くべき

石渡: 海外の最新情報を得る手段のひとつとして、各国の展示会に顔を出すようにしているのですが、近ごろ多くの人から、「石渡くんは『バーニング・マン』に参加したら絶対受けるから、行って来たらいいよ」とススメられます(バーニング・マン:米国北西部の人里離れた荒野で年に1度、約1週間に渡って開催される大規模イベントのこと。各参加者は何もない平原に街を作り上げ、新たに出会った隣人たちと共同生活を営み、そこで自分を表現しながらイベント期間を過ごす。そして、1週間後にはすべてを無に戻す)。どうやら、そのイベントに集まった面白い人同士がつながって仕事が生まれるから、行ってみたらよいということらしくて。気にはなりますけれど、荒野はちょっとイヤですね(笑)。

関: SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト:デジタル・IT関連、音楽、映画の3本柱で構成される大型イベント)もバーニング・マンと一緒で、もともと日本人があまり参加しないローカルなイベントという印象でしたよね。ところが先にお話した通り、最近はSXSWの出展トレンドが、日本人が得意とするロボティクスやIoTに寄ってきたこともあり、ここ数年で、日本人がどっと押し寄せるようになってきたようです。まだ日本からの参加者が少なかったころは、「日本人」というだけで希少価値があったはずです。そこで、その価値を利用したらよいんじゃないかと考えた先駆者たちが外部の人を巻き込み、日本人が多く訪れるイベントへと様変わりしていったのかもしれません。

機楽株式会社代表取締役兼ロボットデザイナーの石渡昌太氏(左)とSix ApartのCEOを務める関信浩氏(右)
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