女子大生が考えたのはどんな味? 共同開発飲料をキッコーマンが発売 こだわりは「香りとパッケージ」

» 2015年05月27日 17時41分 公開
[山崎春奈ITmedia]

 仕事や勉強の合間にバラの香りでリラックス――東京都市大の女子学生と共同開発した飲料水「デルモンテ 花つぼみ ローズウォーター」をキッコーマン飲料が発売する。若い女性をターゲットに、従来手薄だった若者層への認知拡大を狙う。

pjoto 東京都市大学の学生が「花の香り」をテーマに開発
photo 「花つぼみ ローズウォーター」は飲料自体も薄いピンク

 バラの香りがするローズウォーターの清涼飲料水。20〜30代の女性が仕事や勉強の合間にリラックス・リフレッシュできるよう、香りはありつつ甘さは控えめに。パッケージはピンクを基調にしつつ、ガーリーになりすぎないようにしている。「花つぼみ」という商品名には、目標に向かって日々頑張る女性を応援する意味を込めた。

 同社が昨年6月、高校生・大学生から新しい飲料のアイデアを募集したところ、採用されたのが同大知識工学部自然科学科の5人チーム「やま都市なでしこ」の案。花の香りをテーマに、専攻と商品企画をつなげた“女子大生らしさ”が決め手になった。

 共同開発を昨年夏にスタート。学生チームは同社の企画部やデザイナーらと打ち合わせを重ね、使う花の種類、甘さと香りのバランス、商品名やパッケージデザイン――など商品化までのすべてを約10カ月かけてプロデュースした。

 チームの1人は「大学では自然や植物について学んでいるので、コンセプトとなる部分にはこだわりを持っていても、商品開発やマーケティングは未知の分野。基本知識を学び、実践の中で理解を深めながら取り組めたことは、難しくも貴重な経験だった」と振り返る。

 学生と共同開発を行うのは同社にとって初めての取り組みだ。「キッコーマン」はしょう油やケチャップなど調味料のイメージが強く、「主婦層への知名度に比べて若年層が弱い」という背景がある。

 学生と一緒に開発を進めてきたプロダクト・マネジャーの斎藤剛さんは「リアルな生活者の声を聞き、実際の商品に反映していくのは社内にも大きな刺激になった。機能や従来品との差異を考えることの多い普段の開発と異なり、香りやビジュアルへのこだわりが強かったのが印象的」という。

 同大男女共同参画室の岡田往子室長は「もともと工学系の大学ということもあり女子学生が少ない中で、今回このような形で活躍のチャンスが生まれたのはうれしい。緊張感を持って実際のビジネスの現場に携わり、学びを活かすのは、大学の枠内だけではできないこと。今後も学外機関との連携は意識していきたい」と話す。

 今後も継続的に協力し、同社は商品開発だけでなく、マーケティングやプロモーション面でも大学生の生の声を生かしたい考えだ。

photo チーム「やま都市なでしこ」の学生(前列)と、斎藤剛プロダクト・マネジャー、三宅宏執行役員、東京都市大学の湯本雅恵副学長、男女共同参画室 岡田往子室長、三木千壽学長(後列左から)

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