ボンカレーの販売が伸びている2つの要因レトルト食品の“元祖”(2/2 ページ)

» 2015年05月25日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]
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話題作りで消費者にアピール

 販売増のもう1つの要因が、商品の話題作りに力を入れたことだ。「ボンカレーは1968年に誕生したロングセラー商品なので、商品に対する信頼感は高い。一方で変わり映えしないというイメージが強く、消費者の意識の中に入り込んでいない側面があった」と垣内氏は打ち明ける。

 そこで2013年に商品リニューアルして以降、夏は「トロピカルカレー」、冬は「ホワイトカレー」と季節限定商品を発売し、消費者の関心を引くことに努めた。今後はTwitterなどのソーシャルメディアを活用したプロモーション戦略をはじめ、話題を喚起するための施策を次々と打っていきたいとする。

 また、話題作りだけでなく、消費者と直接コミュニケーションをとる機会を増やそうと、例えば、スーパーマーケットなどの店頭に電子レンジを持ち込んで商品の機能訴求をしたり、「ビストロ ボンカレー」という架空のレストランを限定オープンしたりと、消費者に商品を直に体感してもらう場を積極的に作っている。

健康関連商品を伸ばす

 現在、大塚食品のレトルトカレー市場シェアは1割程度で、ハウス食品やエスビー食品に大きく水をあけられている。今後のビジネス戦略の方向性としては、単に収益拡大だけを目指すのではなく、レトルト食品全体に対する消費者のイメージを変えていきたいと垣内氏は考えている。

大塚食品 製品部 レトルト担当 PM 兼 経営戦略室 レトルト戦略担当 課長補佐の垣内壮平氏 大塚食品 製品部 レトルト担当 PM 兼 経営戦略室 レトルト戦略担当 課長補佐の垣内壮平氏

 「レトルト食品は調理が簡単で便利という良いイメージがある一方で、保存料など身体に悪い薬剤が使われているのではないかというネガティブなイメージを持つ消費者もいる。実際にはそれは誤認なのだが、50年近くボンカレーを販売してきたのに、そういうことがきちんと消費者に伝わっていなかった点は反省している。商品ブランドの信頼を糧に、改めて消費者に正しい情報を伝えていくべき」(垣内氏)

 それに向けて商品パッケージに「保存料、合成着色料、化学調味料不使用」といった文言を入れたり、消費者とコミュニケーションをとったりする中で、レトルト食品の安心、安全を広く認知させるという本質的な部分に力を入れていくのだという。

 かたやレトルト食品事業全体の収益面では、低カロリーごはんなど健康に関連する商品を次の柱に育てたい考えだ。今年4月1日からは食品の機能性表示制度が施行されたことで、消費者への具体的な商品アピールや情報発信が可能になった。今後さらに健康軸での食品市場の活性化が見込まれており、他のメーカー各社に負けじと大塚食品も商品開発を急ぐ。

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