化粧品メーカーには真似できないアイスタイル独自のデータ戦略ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(5/5 ページ)

» 2015年05月21日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]
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海外に勝機

大薗: 今後の中長期の事業戦略に「ビューティープラットフォーム戦略」を掲げています。これによって目指すものは何でしょうか。

吉松: ビューティプラットフォームでは、当社のこれまでのサイトのようにユーザーがクチコミを投稿するだけではなく、メーカー、サロン経営者など美容のビジネスにかかわる側もIDを持って情報発信をしていけるようになります。美容に携わる全ての人が出会い、コミュニケーションできる場です。これを1社だけですべてやっている会社はほかにありません。

大薗: 海外戦略についてはどうでしょうか。

吉松: 中国でのビジネスを10年ほどやってきましたが、中国ではローカル企業がプラットフォームを作ってしまったので、当社ができるのはコンテンツか商品を運ぶことです。ただし、中国市場のボリュームは依然として大きく成長しています。よく卸は儲からないと思われますが、中国は市場規模が大きいので卸が儲かるのです。

 また、海外事業を始めて気付いたのは、日本のメーカー各社が多言語対応していないということです。アイスタイルは現在、英語や中国語など4つの言語に対応しているため、化粧品という独特のニュアンスをもった市場の翻訳会社としてナンバーワンになれるのです。さらに、どの国のユーザーからアクセスがあり、彼らがどの商品に興味を持っているかがすべてデータとして取得できています。この点からもメーカーの海外事業のサポートが可能です。

 このように、日本のほとんどの化粧品メーカーはまだ十分に商品を輸出できていないのが現状です。そこで当社が海外でオリジナルブランドを販売することはグローバル戦略として可能性があるかもしれません。海外の消費者にどういった商品が人気なのかも分かっていますし、ビジネスとして十分にやっていけるのではと思います。

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