なぜ亀田3兄弟は毛嫌いされるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2015年05月21日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


 いまや何をやっても多くのブーイングが浴びせられるようになってしまった。プロボクシングで活躍する亀田3兄弟のことである。

 長兄のWBA世界スーパーフライ級2位・亀田興毅がWBA同級王者・河野公平に挑むタイトルマッチが7月に米国で開催される見通しであることが明らかになると、ネット上で“反亀田”のユーザーたちから辛口コメントが噴出。さらにその直後、興毅が一部メディアを通じて王者・河野に対し、強気な言葉を口にした際には炎上モードになり、次のような辛らつなコメントがネットユーザーの間から数多く飛び交った。

 「今までの試合内容でよくそんなエラそうなことが言えたものだ」

 「たまには試合前に一言もしゃべらず戦ってみろ」

 「いつもこうだから応援する気にはならない」

 ネット上のさまざまなサイトに寄せられたコメント、投稿をざっと見渡しても興毅を応援もしくは擁護(ようご)する声は非常に少ない。いや皆無に等しいと評しても決してオーバーではないだろう。このように一挙一動に対して罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられるのは長兄の興毅だけでなく、次男・大毅、三男・和毅の2人の弟たちもほぼ同じ状況である。

 ただ、個人的に「気の毒だな」と思ったのは先日の和毅の一件だ。5月9日に米テキサス州で行われたWBAバンタム級タイトルマッチに臨んだ挑戦者の和毅は王者のジェイミー・マクドネル(英国)にプロ初黒星。王者からダウンを奪うなど善戦したものの結局ジャッジが3人とも113―114と採点した僅差の判定負けであった。しかし、この結果にも「惜しかった」「和毅の勝ちじゃないのか」と叫ぶ声はほとんどなし。やはりネット上では「当然の結末」「海外でやれば亀田なんてこんなもん」などと和毅の敗戦をせせら笑うかのようなコメントや書き込みばかりが目立っていた。

 日本でのテレビ中継放送がなく試合の詳細が分からない人が多かったのは仕方がないにせよ、惜敗した和毅がここまでワーワーとブッ叩かれることには大きな違和感を覚えた。ちなみに当日の試合会場では王者の防衛を知らせる場内アナウンスに大きなブーイングが上がるほど観客の多くが和毅の勝ちを支持していたのが実情であった。その事実がニュースとして伝わっても和毅への風向きは一向に変わらず、完全なヒール扱い。亀田3兄弟が何をやっても嫌われることをあらためて証明する格好となった。

なぜ亀田3兄弟は毛嫌いされるのか(出典:亀田兄弟オフィシャルサイト
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