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» 2015年05月13日 08時00分 UPDATE

進化する物流ビジネス最前線:アスクルはなぜ当日配送が可能なのか? (1/3)

法人向けにオフィス用品などを通信販売する事業からスタートし、今では一般消費者にもネット通販サービスでさまざまな商品を提供するアスクル。何と言っても同社の強みは「物流スピード」だ。その裏側をお伝えする。

[伏見学,ITmedia]

 商品を注文すると翌日には手元に届く。つまり「明日来る」。通販サービスを提供するアスクルのこうした社名の由来をご存じの人も多いだろう。

 同社はオフィス家具・文具メーカーであるプラスの一事業としてスタートした。1997年に法人化してからも長らく企業向け通販サービスが事業の中心だった。ところが、約2年半前に一般消費者向けの通販サービスに本格参入。ヤフーとの業務・資本提携をきっかけに、2012年10月に日用品などを扱うインターネット通販サービス「LOHACO」を開始した。

一般消費者向け通販サービス「LOHACO」 一般消費者向け通販サービス「LOHACO」

 現在の累計利用者は150万人を超える。直近の決算である2015年5月期 第3四半期のLOHACO事業の売上高は、141億2500万円(前年同期比79.3%増)となった。「売り上げは順調に推移している」と、アスクルの物流部門を統括する上級執行役員 ECR本部長の川村勝宏氏は胸を張る。

 B2C領域への参入によって同社が目指すのは「第2世代のEコマース」でナンバーワン。書籍や音楽CDなどの趣味嗜好品を探して単品買いするようなサービスを第1世代、日用品や生活雑貨など消費者の日常生活に入り込んだサービスを第2世代と定義する。「アマゾンや楽天とは異なるステージにアスクルは上ろうとしているのだ」と川村氏は力を込める。

 例えば、アマゾンのサービスとの違いとして、アマゾンは商品の単品配送が中心だが、アスクルの場合はさまざまな種類の商品を基本的に1つの箱に梱包して配送するなど、消費者のニーズにきめ細やかな対応を特徴としている。

注文から出荷まで最短20分

 このような配送の仕組みの構築をはじめ、Eコマースのサービス向上に欠かせないのが物流だ。ここにアスクルは創業以来、力を注いできた。「物流を制する者がEコマースを制する」(川村氏)という理念の下、ハード面、ソフト面ともに積極的な投資を行っている。

アスクルの物流センターの様子 アスクルの物流センターの様子

 現在、アスクル全体の物流センターは仙台、埼玉、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の7拠点で、延べ床面積は10万坪に上る。中でも2013年7月30日に稼働開始した最新の物流センター「ASKUL Logi PARK首都圏」(埼玉)は延べ床面積が7万平方メートルを超える巨大施設で、約7万点の商品を取り扱う。配送専門会社を自社で抱えるのも他社にはない特徴で、B2Bを中心にアスクル全体の配送の約6割を子会社のBizex(ビゼックス)が請け負っている。

 アスクルの強みは「スピード」である。当日出荷というEコマースは増えてきたが、アスクルはあくまでも当日あるいは翌日配送を厳守する。「必ず届ける。たとえ社員が自ら運ぶことになってでもだ。この物流スピードに執念を持っているのがお客さまに支持される理由だと考えている」と川村氏は話す。B2B向けは午前11時までに注文があれば全国7センターの近隣地域で当日配送、B2C向けは午前10時までの注文で関東圏および近畿圏は当日配送できる。

 これが可能なのは、注文から出荷まで最短で20分という物流センター内の作業の高速化を実現しているからだ。その秘密の1つは商品のピッキング方法にある。アスクルでは長年にわたり売れ筋商品を細かく分析することで、高、中、低と商品の注文頻度別にピッキングする仕組みを作り上げている。物流センターにオーダーが入ると、自動的に折りたたみコンテナボックスが該当商品の置いてあるロケーションだけを通過するようになる。その後、梱包、仕分け作業を経て配送会社に荷物が引き渡されるという流れだ。

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