ファンケル15年3月期、売上高4.3%減 池森会長「今後3年間は広告宣伝に積極投資」

» 2015年05月11日 21時39分 公開
[伏見学ITmedia]

 化粧品や健康食品などを販売するファンケルが5月11日に発表した2015年3月期通期の連結売上高は前年同期比で4.3%減の776億3200万円だった。栄養補助食品関連事業などの減収が響いた。

2014年4月から主力商品をドラッグストアでも販売 2014年4月から主力商品をドラッグストアでも販売

 営業利益は40億100万円(前期比1.5%増)、経常利益は42億8300万円(同0.5%増)、当期純利益は23億100万円(同71.3%増)となった。原価率の改善で粗利が増加したほか、固定費やマーケティング費の削減が増益につながった。

 化粧品関連事業は、売上高が前期比でほぼ横ばいの474億7100万円(同0.1%減)、営業利益は55億5700万円(同19.2%増)だった。全国約7700店舗のドラッグストアへ主力商品である「マイルドクレンジングオイル」および「洗顔パウダー」の卸販売を始めたことで国内販路が拡大したが、一方海外では台湾とシンガポールの現地小売りから撤退した。

 栄養補助食品関連事業の売上高は消費税増税の反動などで232億8500万円(同8.3%減)、営業利益はマーケティング費が増えたことなどで400万円の赤字(前期は11億2500万円の黒字)に転落した。

今期の経常利益は61%減と予想

ファンケル創業者の池森賢二会長兼グループCEO ファンケル創業者の池森賢二会長兼グループCEO

 併せてファンケルは新たな中期経営計画(2015年度〜2017年度)を発表。戦略的な広告投資や出店強化などを進め、今後5年間で売り上げ倍増に向けた成長戦略を描く。

 同社はこれまで売上高の10%前後を広告宣伝費に充てていたが、それとは別に今後3年間で化粧品に約50億円、健康食品に約150億円を追加投資する。特に地方でのブランド知名度向上を図りたい考えだ。それに伴い、地方都市を中心に出店を加速する。現在164の直営店舗を3年後には350店舗にまで伸ばす。

 同日会見したファンケルの池森賢二会長兼グループCEOは「売り上げの20〜40%ほど広告投資する化粧品会社がある一方で、ファンケルは中途半端な広告投下にとどまっていた。また、特に地方での広告出稿量は少なかった」と説明した。

 新中期計画の初年度となる2016年3月期通期の見通しは、売上高が前期比15.9%増の900億円、営業利益は同62.5%減の15億円、経常利益は同61.5%減の16億5000万円、当期純利益は同60.9%減の9億円と予想する。先行的な広告投資で利益水準が低下するが、2017年3月期以降は投資回収期に入り収益性が向上すると見ている。

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