NEC、ビッグローブ売却で減収も増益 マイナンバー、オリンピック関連事業で好調の見通し15年3月期通期決算(1/2 ページ)

» 2015年04月29日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 NECは4月28日、2015年3月期通期の連結決算を発表した。インターネットプロバイダのNECビッグローブを非連結化した影響などから、売上高はやや減少したが、官公向けシステムを中心とするパブリック部門が堅調に推移し、営業利益については前期を大きく上回り、減収増益となった。

 連結売上高は前年同期比3.5%減で2兆9355億円。営業利益は前期比20.6%増の1281億円、経常利益は1121億円(前期比62.1%増)、当期純利益は573億円(前期比69.8%増)。営業利益、当期純利益ともに3期連続で会社計画を超え、年間配当は前期と同じく4円となった。

photophoto NEC 2015年3月期通期の連結決算(左)と概況(右)

社会インフラ事業が好調、マイナンバー対応とオリンピックも後押し

photo NEC 代表取締役 執行役員社長 遠藤信博氏

 売上高をけん引したパブリック部門は前期比11.3%増の8219億円(営業利益は前期比9.1%増の748億円)。航空、宇宙、消防、防災といった社会インフラ事業を中心に受注が増加。今後はマイナンバー制度の対応や、東京オリンピック/パラリンピック関連事業の大型案件が集中するとみられ、さらなる増益が見込まれるとのことで「今まさに人的リソースが不足している」(代表取締役 執行役員社長 遠藤信博氏)という。

 このほか、流通・サービス業や製造業などを中心とするエンタープライズ部門、通信事業などを中心にしたテレコムキャリア部門、PCやサーバといったハードウェアを扱うシステムプラットフォーム部門など、主要5部門がすべて増益となった。NECビッグローブの非連結化、ビジネスPCの出荷減少、円安に伴う資材費上昇などで減収となった部門はあるものの、不採算案件を減らすなど収益性を改善することで増益を確保した形だ。

 減収増益という結果について遠藤氏は、「SDN事業やエネルギー事業の需要予測がスリップして伸び悩んだ部門はあるが、悲観はしていない。利益は伸びているので進むべき方向性は間違っていないと考えている」と力強くアピールした。

 SDN事業については「われわれの想定よりも1年半ほど普及が遅れているイメージで、費用対効果などの面で価値を打ち出しきれず、お客様が導入をためらっているケースが多い。とはいえ、実際のネットワークを使った実証実験を進めるなど商用化に向けて着実に進んでおり、導入も250社を超えている。2015年の下半期から2016年にかけて大きく動き出すだろう」と語った。

 エネルギー関連市場についても、今後は拡大する見通しだと遠藤氏は話す。今期は新電力事業者向けパッケージソフトを利用したシステムインテグレーションや、ICTとエネルギー技術を合わせた蓄電システムの拡販を見込んでいる。

 「太陽光や風力など、自然エネルギーによる発電は天候によって発電量が変動する。電力需要が低いときに過度の発電がされた場合のバッファとして、バッテリーが必ず必要になる。大きな可能性がある市場であり、現行の事業者にもパッケージソフトは提案できる。2015年度後半には業績が上向きになるはずだ」(遠藤氏)

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