「ハラル認証」手続きと運用体制の整えかた(前編)新たなビジネスチャンス(1/3 ページ)

» 2015年04月28日 06時00分 公開
[企業実務]

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 本記事は企業実務のコンテンツから一部抜粋・編集して掲載しています。


図表1:ハラルの基本ルール

 世界人口の約4分の1を占めるムスリム(イスラム教徒)。なかでも、人口増加率が高いASEAN諸国は、中東圏を上回る、最もムスリムが多いエリアだ。

 経済発展に伴う所得の向上や消費行動の多様化などにより、ムスリムを対象とする市場規模は推定300兆円を超え、今後ますます拡大することが見込まれている。この市場攻略のキーワードが「ハラル(HALAL)」である。

 ハラルとは、アラビア語で「合法的なもの」「許されたもの」という意味をもつ言葉で、イスラムの教え(シャリア法=イスラム法とイスラム原理)に則った“健全な商品や活動”全般を指す。それ以外はノン・ハラル(NON−HALAL)またはハラム(HARAM)と呼ばれ、ムスリムにとっては有害なもの、中毒性のあるものを意味するので避けなければならない(図表1)。

図表2:ハラルが適用される分野例(出典:ハラル・ジャパン協会)

 適用される対象は、食品から、化粧品、医薬品、生活用品、金融、各種サービスまで多岐にわたり、ムスリム向けのビジネスを行うならこのハラルを理解することは必須だ(図表2)。

 イスラム圏でのビジネスに詳しい、一般社団法人ハラル・ジャパン協会の代表理事・佐久間朋宏氏は言う。

 「現在、日本で暮らすムスリムは10万人程度。国内でのハラルの認知度はまだ低いですが、イスラム圏での日本製品への根強い需要と、2013年から東南アジア諸国のビザ発給要件が緩和され、ムスリムの訪日客が年間3割のペースで増えていることから、新たなビジネスチャンスを求める人々の関心は高まっています。

 とくに地方自治体や観光関連企業、食品加工メーカーなどが熱心に勉強されていますね。規模が大きくなくとも、ハラル対応によって差別化を図り、ビジネス上、優位に立てる可能性があるからです」(以下、発言は佐久間氏)

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