新オフィスは「イノベーションを生み出すフィールド」と位置付けられた。カルビーのビジネスの核はじゃがいも。良い畑からは良いじゃがいもが獲れるように、社員も良い環境が整っていれば良い仕事ができ、新しいものを生み出せるという発想が根底にある。
では、どのようにオフィスを改革したのだろうか。まず、コミュニケーションやコラボレーションを促進するためにフラットなワンフロアにした。会議室の数は最小限にしてカベは取り払った。会長、社長をはじめ役員の席も開かれた場所にある。文字通り、風通しの良いオープンなオフィス環境にしたのだ。
また、役職者を含めほぼすべての社員がフリーアドレスで働く。八重洲での反省を踏まえて、座席は「ダーツ」で決めるルールにした。出社したら社員IDカードを専用のシステムにかざしてログインし、完全にオープンな座席(コミュニケーション)、間切りのある座席(ソロ)、窓に面した隔離座席(集中)の3タイプから選ぶ。するとその条件で自動的に座席が割り当てられるという仕組みだ。次に、その日の働き方に応じて時間を設定する(最長で5時間)。例えば、午前中は他の社員とのコミュニケーションが中心になるのでオープン席にして、午後は集中して作業するために半小部屋席を選ぶというのが可能である。「自分のワークスタイルや業務内容に応じて自由な席が選べる。また時間を区切って仕事するので、それまでに成果を出す働き方ができるようになる」と田中氏は話す。
当初はフリーアドレスに対して戸惑う社員もいた。しかしながら、「もしフリーアドレスが嫌だったら、固定席のある会社にどうぞ転職ください」という経営トップの確固たるメッセージがあったこともあり、その強い決意に押されて社員もまずはやってみようという気持ちに変わったそうだ。
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